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ハイブリッドイベントとは?開催判断に迷う担当者のための成功設計ガイド

ハイブリッドイベント

「現地開催か、オンライン配信か、それとも両方やるべきか」

イベント開催を検討する中で、こうした迷いを抱える担当者は少なくありません。最近注目されているハイブリッドイベントは、参加者の選択肢を広げる一方で、運営の負担や設計の難しさから判断が先送りされるケースも多く見られます。

本記事では、ハイブリッドイベントの基本構造から代表的な開催パターン、適したシーン、判断基準、成功のコツまでを整理しています。「やるべきかどうか」「やるならどう設計するか」を、実務的な視点から検討するための材料としてご活用ください。

目次

ハイブリッドイベントとは何か?

定義と特徴:オンラインとリアルの“いいとこ取り”

ハイブリッドイベントとは、「会場での対面参加」と「オンライン視聴」を組み合わせたイベント形式です。現地に足を運べる人だけでなく、遠方から参加したい人やスケジュールの都合で移動が難しい人にも情報を届けられることが特徴です。

たとえば、リアル会場での講演やセミナーの様子をライブ配信したり、収録してオンデマンドで公開したりすることで、物理的な制約を越えた参加機会の提供が可能です。現地の臨場感と、オンラインの手軽さの“いいとこ取り”を実現できる手法といえます。

オンラインイベント・リアルイベントとの違い

それぞれの形式には強みと弱みがあり、ハイブリッドイベントはその中間に位置します。

リアルイベントオンラインイベントハイブリッドイベント
到達範囲来場可能な地域に限定される地理的制限なしリアル+オンライン両方に対応
交流の方法対面での濃いコミュニケーションが可能チャットやコメントが中心両形式のメリットを組み合わせられるが工夫が必要
コスト構造会場費・人件費が中心配信設備やツール費用が中心両方のコストがかかる
実施の難易度会場準備や運営が必要技術的な配信スキルが求められる両方のノウハウと統合的な運営が求められる

単独のリアル開催やオンライン開催では届けきれない層にもアプローチできるため、参加者数やエンゲージメントの最大化を目指す場面で有効です。

注目される背景|DX推進・コロナ後のニューノーマル対応

ハイブリッドイベントが注目される背景には、新型コロナウイルスの影響によるオンライン化と、それに伴うDXの加速があります。

コロナ禍では、多くの企業がオンライン配信を導入し、その有効性が広く認識されました。一方で、リアルイベント特有の熱量や交流の価値も再評価され、両者を組み合わせたハイブリッド形式への需要が急速に高まっています。

さらに、テレワークの普及や働き方の多様化により、全員が現地に集まるスタイルは現実的ではなくなっています。誰もが柔軟に参加できる設計が、主催者・参加者の双方にとって欠かせない要件となりつつあります。

ハイブリッドイベントの主な開催形式と利用シーン

ハイブリッドイベントとは?開催判断に迷う担当者のための成功設計ガイド

代表的な形式3パターン

ハイブリッドイベントには、目的や体制に応じた代表的な開催形式がいくつかあります。ここでは、実務でよく使われる3つのパターンを紹介します。

1.現地イベント+同時配信(ライブ配信型)
もっとも基本的かつ広く普及している形式です。
会場で実施される講演やパネルディスカッションを、現地の参加者に会場で観覧してもらいながら、遠隔の参加者にもリアルタイムで配信します。

機材やオペレーションも比較的シンプルなため、初めてハイブリッドイベントを行う企業にもおすすめです。
・主な用途:研修、セミナー、学会、説明会、製品発表会、表彰式(アワード)、ピッチイベント、ファンミーティングなど

2.拠点間連携型(複数会場+オンライン)
複数の会場を中継でつなぎ、各拠点の様子をオンラインでも配信する
形式です。
たとえば、東京・大阪・福岡など全国の主要都市に参加者を集めつつ、全体で一体感のあるイベントをつくることが可能です。
各拠点を映像と音声でつなぐため、ある程度の機材や配信設計が必要となりますが、エリアをまたぐイベントや支社間の結束を強める場として効果的です。
・主な用途:社員総会、周年イベント、入社式・内定式、スポーツイベント(運動会)、地域連携カンファレンスなど

3.現地開催+オンデマンド配信型(収録+後日配信)
当日は会場で実施し、その様子を収録して後日アーカイブ動画として配信する形式です。
ライブ配信に比べてトラブルのリスクが少なく、視聴者が好きなタイミングで視聴できるため、反復視聴や社内共有が求められるコンテンツに適しています。

編集や字幕の追加など、配信前にクオリティを整えることができる点も魅力です。
・主な用途:社内研修、教育セミナー、採用説明会、資格・技術講習、勉強会など

ハイブリッドイベントに適したイベント例

ハイブリッド開催が効果を発揮するのは、以下のようなシーンです。

・カンファレンス・セミナー・学会
来場者との対面交流と、遠隔地の顧客や見込み層へのリーチを両立できます。基調講演+分科会など、多層構成でも対応しやすいのが特徴です。

・製品発表会・プレスリリース
新商品・新サービスの発表をリアルタイムで広く届けると同時に、視聴ログや反応データの取得も可能です。オンライン視聴者向けのインセンティブ施策と組み合わせる例も。

・教育・勉強会・資格講習
社内外を問わず、繰り返し視聴や理解促進が重視される分野で活用が進んでいます。
専門職(教員・士業など)のスキル認定試験など、受講証明・視聴ログ管理との連携も可能です。

・会員向けイベント・ファンイベント
会員を対象にした交流イベントや、推し活・応援型イベントもハイブリッド化が進行中。現地の臨場感と、遠隔ファンとの一体感の両立が鍵です。

・社内イベント(社員総会・キックオフ・株主総会など)
本社・支社・現場など多拠点に渡る社員・関係者に向けて、一体感を維持しながら、ビジョンを共有することが可能です。

・採用イベント・学校説明会
地方在住や日程調整が難しい層にも参加機会を提供でき、集客数の最大化につながります。オンデマンド視聴やアーカイブ配信との相性も

これらのイベントに共通するのは、参加者属性の幅が広い、または物理的制約を超えて接点を増やしたいというニーズがある点です。

ハイブリッドイベントが不向きなケースと注意点

多くのメリットがある一方で、ハイブリッド形式が適さないケースもあります。下記のような場合には形式選定や設計に注意が必要です。

・交流が主目的のイベント
懇親会やネットワーキングなど、交流そのものが価値となるイベントでは、オンライン参加者との温度差が大きくなり、満足度に差が生まれます。

・オンライン視聴に適していない構成のイベント
会場中心の演出で設計されている場合、カメラの死角や音声トラブル、資料の見づらさなどが生じやすく、オンライン参加者の体験が損なわれてしまいます。
例)
・プロダクトの体験会や実演(デモ)
・照明・映像・音による演出が主軸の演目
・アトラクション型の体験や、会場内でのインタラクティブな演出
・参加者のリアクションや熱量が価値を生むイベント

これらは、オンラインだけでは臨場感が伝わりにくいため、構成を工夫するか、あえてリアル限定で設計する判断も必要です。

・リソース不足による中途半端な運営
リアルと配信の両立には機材・人員・スキルの確保が不可欠です。準備や体制が不十分なまま進めてしまうと、現地・オンライン両方の参加者にとって満足度の低いイベントになってしまうリスクがあります。

ハイブリッド開催を選ぶ際は、目的・体制・実行可能性のバランスを見極めることが重要です。

準備段階で押さえておくべきポイント

ハイブリッドイベント

イベント目的とKPIの整理

ハイブリッドイベントを設計する際は、まず「誰に、何を、どう届けるか」を明確にすることが重要です。リアルとオンラインでは参加者の特性や期待が異なるため、それぞれに合った提供価値を意識して設計する必要があります。

目的に応じた設計例
・新規リード獲得(ウェビナーやセミナー)
⇒オンライン視聴からの資料請求や申込導線を重視

・既存顧客や会員との関係強化(ファンイベント・会員向けセミナーなど)
⇒会場での体験価値や直接交流に加え、オンライン参加者向けのグループワーク(ブレイクアウトルーム)など、参加型設計で満足度や継続率向上を狙う。

・社内コミュニケーションの活性化(社員総会・キックオフなど)
⇒多拠点をつなぎ、一体感を重視した設計に。オンライン参加者の顔や声が見えない・聞こえない状態では、当事者意識が薄れやすいため、カメラON/音声ONでの自己紹介タイムなど、「視聴」ではなく「体験」に変える仕掛けが効果的です。

教育・啓発・学術的な知識共有(勉強会・シンポジウムなど)
⇒ 資格取得や研究成果の発表、専門知識の普及といった正確な情報伝達が目的となるため、アーカイブ配信や視聴ログ管理、出席記録の取得が重要です。

公共性・地域性のある説明会や発表会(自治体、医療機関など)
⇒住民や関係者への正確な情報提供・周知。そのため、誰でもアクセスしやすいプラットフォームの選定や、視聴しやすい配信環境の整備が重要です。

また、一方向の配信だけでなく、コメント投稿・質疑応答・アンケートなど、参加者が意見を表明できる場を設けることで、参加者との信頼構築にもつながります。
情報を「受け取る姿勢」も設計に含めることが、公共性の高いハイブリッドイベントでは求められます。

目的が定まれば、参加者数、アンケート回収率、満足度、資料ダウンロード数といったKPIも具体化できます。リアル参加とオンライン視聴、それぞれの成果をあらかじめ想定しておくことで、より正確な評価や改善につながります。

会場選びと配信環境の設計

次に重要なのが、会場と配信の両立を前提とした準備体制のチェックです。
以下のようなポイントを、事前に確認しておくと良いでしょう。

・配信向けにカメラ・照明・音響などの設備が整っているか
・ネット回線は安定しているか(最低でも上り10Mbps以上が目安)
・機材の搬入・設置・テストに十分な時間やスペースを確保できるか

特に、配信に不慣れな会場を使う場合は、外部の配信事業者と連携するなどし、現地の下見と事前テストを実施しておくことがトラブル防止に繋がります。

また、会場費や運営費だけでなく、配信機材やオペレーターの費用も含めた全体の予算を見積もっておくことが大切です。

コンテンツ企画:現地・オンライン両参加者の満足をどう得るか

ハイブリッドイベントでは、現地とオンラインで同じ体験を再現するのではなく、それぞれに最適な体験を設計する視点が重要です。

たとえば、
・現地参加者向け: ブース出展や交流タイムの導入
・オンライン参加者向け:資料のダウンロード、 グループワーク、質疑応答など

といったように、チャネルごとに異なる価値提供を構成する必要があります。

スライドや登壇者の映像だけでなく、表情や会場の雰囲気が伝わるカメラ構成や音声設計も、オンライン視聴体験の質を左右します。
一方的な配信では離脱が起きやすいため、チャット質問・投票・リアクション機能など、参加感を高める仕掛けも効果的です。

集客・告知の工夫と当日参加を最大化する導線設計

オンライン・オフラインそれぞれの集客方法

ハイブリッドイベントでは、現地参加者とオンライン視聴者に対して異なる集客アプローチが求められます。参加の手段や参加動機が異なるため、訴求内容やタイミングを分けて設計することが重要です。

・現地参加者向け: 招待状、DM、営業経由、業界団体・パートナー企業との連携
・オンライン参加者向け: メールマガジン、SNS広告、ランディングページからの流入、バナー掲載など、デジタル中心の施策

特にオンラインは申込から離脱までが早く、定着率も低い傾向があるため、複数の接点を通じて繰り返し案内を行うなど、継続的な再訴求がカギとなります。

また、参加登録ページでは、「現地参加」「オンライン参加」を選択できるようにし、それぞれに合わせた案内文やリマインドメールを用意することで、離脱を防ぎ、参加率の向上につながります。

参加申込・リマインド設計のポイント

参加登録フォームの設計では、参加率と参加者情報の有用性を高めるための配慮が欠かせません。以下のポイントを押さえると効果的です。

・入力項目は最小限に絞る: 氏名、所属、メールアドレスなど
・参加方法の選択を明確に: 現地参加/オンラインの選択肢
・登録完了後の自動案内: 参加形式に応じた詳細情報(会場地図・アクセス情報/視聴URLなど)をすぐに送付

その後は、開催1週間前、前日、当日朝の3タイミングでのリマインドメールが効果的です。

オンライン参加者は予定を忘れるリスクが高いため、カレンダー登録の案内や視聴URLの再送といった直前の接触で差が出ます。

参加者の熱量を維持する導線づくり

リアル・オンライン問わず、参加者がイベントにどれだけ“没入”できるかが満足度を左右します。視聴環境やプログラム構成だけでなく、情報の届け方や参加導線も工夫したいところです。

・資料やパンフレットに、全体プログラム・見どころ・参加方法を明記
・オンラインでは、チャット欄や質問投稿欄を目に入りるようUIを調整
・プログラムの合間にブレイクタイムや特典紹介を挿入し、離脱を防止
・要所でQRコードやリンクを提示して、アンケートや資料ダウンロードへスムーズに誘導

ハイブリッドイベントでは、現地と配信のタイミングを統一させる設計が必要です。リアル参加者が盛り上がっていても、オンライン側が「放置された」と感じれば体験価値は下がります。

ハイブリッドイベントを成功させる運営ノウハウ

配信トラブルを回避するためのリハーサル設計

ハイブリッドイベントでは、現地と配信の両方でトラブルが発生する可能性を想定しておく必要があります。特に配信側は、音声や映像の不具合、回線トラブルが起きやすく、視聴者の離脱や不満につながります。

よくある失敗例としては、
オンライン登壇者の音声を会場に流そうとして、音声のハウリングが起きてしまう」
といった事態が挙げられます。こうした事態は、本番中に慌てて対処するのではなく、事前のリハーサルで確認・調整しておくことが肝心です。

リスクを最小限にするには、「本番と同じ環境でのテスト」が不可欠です。
以下のチェック項目を満たすリハーサルを必ず実施しましょう。

・映像・音声・スライド切り替えなどの配信テスト
・使用するPC・ソフトウェア・接続機器の動作確認
・有線回線+モバイル回線など、バックアップ手段の確保
・配信オペレーターやカメラ担当との連携確認
・登壇者を交えた通しリハーサル(特にオンライン登壇者との接続チェック)
・トラブル時の対応マニュアル・連絡フローの整備

「本番と同じ環境でテストする」ことがリハーサルの基本です。登壇者も交えて進行の流れを確認し、不測の事態に備えてマニュアルを整備しておくと安心です。

当日の運営体制と役割分担

ハイブリッドイベントでは、運営チームが担う役割が通常のイベントよりも多岐にわたります。現地対応と配信対応を同時進行で管理する必要があるため、明確な役割分担が不可欠です。

一般的な役割例
・進行管理:全体のタイムキーパー、進行ディレクション、緊急対応の指示
・会場運営:受付、会場案内、登壇者対応
・配信オペレーション:配信機材の操作、音声・映像チェック、オンライン参加者の入室管理
・視聴者サポート:視聴トラブルの問い合わせ対応、チャットの案内、質疑応答のファシリテーション

一人が複数の業務を兼務するとどちらかがおろそかになるリスクがあるため、最小限でも3~5名体制での分担が理想です。

オンライン視聴者への配慮と演出

オンライン視聴者は、現地参加者に比べてイベントとの心理的距離が生まれやすい傾向があります。会場が盛り上がっている中で、オンライン側が置き去りにされたと感じると、早期離脱につながる原因になります。

視聴体験を高めるためには、以下のような工夫が効果的です。
・カメラの切り替えを活用して会場の臨場感を伝える構図をつくる
・モデレーターが視聴者の投稿にリアルタイムで反応する
・スライドをオンライン画面に最適化し、視認性を高める
・定期的に「このあと○分で●●が始まります」といったナビゲーションを入れる

オンライン参加者が「見ているだけ」にならないよう、下記の双方向のコミュニケーション設計も有効です。

・グループワークを行い、参加者同士が交流できる時間を設ける
・クイズやリアルタイム投票、アンケートなどで参加型の仕掛けを組み込む
・カメラON・マイクONでの発言タイムを設ける
・挙手機能・リアクションボタンを活用して参加意識を高める

オンライン視聴者にも「自分もこの場の一員だ」と感じてもらえるような導線づくりが、満足度と記憶に残る体験につながります。

想定シーン別に見るハイブリッドイベントの活用モデル

ハイブリッドイベント

ユースケース①|BtoBカンファレンスでのリード獲得強化

目的: リアル接点による関係強化+オンラインでの新規リード獲得

・具体的な工夫
リアル会場では既存顧客とのネットワーキングを重視
オンライン視聴者にはセッション途中で資料DLや個別相談導線を提示
視聴ログやDL履歴を活用して営業部門と連携

・成果イメージ
新規見込み顧客の開拓と商談化の効率向上
既存顧客のロイヤリティ強化

・適した用途
マーケティング部門主導の年次イベント
プロダクト発表会など

ユースケース②|社員総会・キックオフで組織の一体感を高める

目的: 多拠点をつなぎ、社内の方向性共有とモチベーション向上を両立

・具体的な工夫
東京・大阪・福岡などの現地会場での登壇に加え、その他の各地や在宅の社員がオンラインで参加
一方通行にならないよう、コメント・チャット・リアクション機能を活用
モチベーションにつながる演出や表彰コンテンツなどを工夫

・成果イメージ
働き方を問わず「当事者意識」を醸成
全社の一体感と共通認識の形成

・適した用途
周年記念、年次キックオフ・全社会議・表彰式

ユースケース③|学会/研究発表/シンポジウムで知見を広げる

目的: 知見の共有と学術的な成果発表を広く届ける

具体的な工夫
・発表セッションはリアルタイム配信に加え、アーカイブ視聴を前提に録画対応
・参加ログ、視聴履歴を管理できるシステムを用意し、出席確認にも対応
・コメント投稿や質疑応答フォームを通じた参加者との双方向コミュニケーションを設計
・配信後もオンデマンド視聴の導線を設け、時差参加・復習ニーズに応える

成果イメージ
・忙しい医療従事者や研究者も参加しやすい設計により参加者数を最大化
・正確な知識伝達と、研修・学習成果の可視化が実現

適した用途
・医療や学術系の学会・専門シンポジウム
・公的機関・大学主催の勉強会や研究発表会

開催後の効果測定と次回に活かすための振り返り

オンライン視聴ログ・アンケート結果の分析

ハイブリッドイベントの強みは、オンライン参加の行動データを詳細に取得できる点にあります。視聴ログとアンケートを組み合わせることで、定量・定性の両面から効果を評価できます。

主な分析指標の例
・視聴開始率・離脱率(セッション単位)
・視聴完了率・滞在時間
・資料ダウンロード数、フォーム遷移率
・アンケート回収率・内容(満足度、自由記述)

データをもとに、どのセッションが最も注目され、どこで離脱が起きたかを把握することで、次回のプログラム構成や配信演出に活かせます。

オンライン・現地それぞれの満足度の測り方

満足度の評価には、オンライン・現地の特性に応じたアプローチが必要です。同じ設問では正しく評価できないケースもあるため、設問や評価軸を工夫しましょう。

評価項目の例

オンライン視聴者向け:
・視聴までの導線のわかりやすさ(ログインの手間、URLのわかりやすさ、アプリの要否など)
・配信の安定性、音声/映像の品質
・画面構成や操作性などの視聴体験
・チャット・Q&A・投票など参加感・双方向性

現地参加者向け
・会場案内・受付対応・会場内導線のわかりやすさ
・登壇者や他参加者との交流機会
・配布資料や展示ブースの充実度
・映像・音声の聞き取りやすさ(会場内での中継やモニターの視認性)
・照明・空調・座席の快適さなど、会場環境

こうした「参加前」から「体験中」までを一連で捉え、現地・オンライン両視点で評価することで、次回に向けたバランスの取れた改善が可能になります。

改善点の共有と再設計に向けた社内ナレッジ化

イベント終了後は、関係者間での振り返りを必ず実施し、課題と成功要因を明確にして社内でナレッジとして蓄積しましょう。

実施すべき振り返りステップ
・運営チーム内での「良かった点/改善すべき点」の洗い出し
・参加者アンケートと視聴ログを組み合わせた分析共有
・使用ツール・配信設定・進行台本などをテンプレート化
・次回のイベントに向けたToDo整理と役割確認

これらをドキュメントとして残すことで、担当者の異動や外注先の変更があっても、安定した運営体制を維持できます。結果として、イベントの質の継続的な向上にもつながります。

ハイブリッド開催を選ぶかどうかの判断ポイント

メリット:参加者の拡大、記録性、コスト最適化など

ハイブリッド開催の強みは、「物理的な制約を超えた接点の拡張」と「記録性の高さ」にあります。現地に来られない層にも届けることができ、終了後も動画や資料を活用して効果を持続できます。

・遠方や在宅層を含めた参加者の拡大
・オンライン視聴ログや動画アーカイブによる継続活用
・会場費や人件費を抑えつつ、参加者のリーチを最大化できる

デメリット・懸念点:運営の複雑さ、コスト

一方で、現地と配信の両方を成立させるだけの設計・準備が求められるため、片方だけのイベントに比べて、手間もコストもかかります。

・現地とオンライン、両面を意識した進行・人員配置が必要
・配信トラブルや「オンライン参加者の置き去り」など満足度低下のリスク
・現地・配信の両方にコストが発生(会場・人員・機材・プラットフォームなど)

自社で実施か?運営代行を活用するか?

判断に迷う場合は、以下の観点から検討してみてください。

自社で実施に向いているケース外部委託を検討すべきケース
社内スキル・機材過去に配信実績があり、体制が整っているノウハウや機材が不足している
イベントの規模小規模セミナー、社内イベントなど数百人以上が参加する大規模なイベントや、外部向けのイベント
スケジュールと工数時間的に余裕がある他業務と並行しており、運営リソースが足りない

「自社で全て対応するのは難しいが、予算や人員の制約から、全工程の外注は避けたい」といったケースでは、必要な工程だけを外部に委託する“部分外注”という方法も有効です。

部分的な外注の例:
・配信業務のみ外部に委託
映像・音響機材の手配や設営、当日の配信オペレーションをプロに任せる
開催側は企画や登壇者・参加者対応に集中

・ディレクターや技術人員のみ外注
機材は主催側で用意し、配信オペレーターやカメラマンなどの人員のみ外部に委託する
各担当者との連携やトラブル対応を一括管理してもらう運営体制

・技術サポートのみ外部支援
事前の配信設定や機材の使い方レクチャーなど、技術的な部分をプロにサポートしてもらう
本番は主催側で行えるように事前に練習を実施する

まとめ|形式選びで迷ったら、まずはこの3つを確認する

ハイブリッド開催を検討する際は、「なんとなく両方やる」ではなく、次の3点を具体的に洗い出すことから始めるのが現実的です。

① 本当に“両方”必要か?
リアル参加者とオンライン視聴者、それぞれに届けたい価値が違うか?
一方の形式だけで目的を果たせるのであれば、無理にハイブリッドを選ぶ必要なし

② 両方を同時に運営できる体制があるか?
会場と配信をそれぞれ担当できる人員・役割分担は明確か?
片方が“おざなり”になるようであれば、形式を絞ったほうが効果的

③ 初回は「最小構成」で試せるか?
まずは1セッションだけライブ配信する、など限定的な形から試してみる
回線・機材・オペレーションの経験値を積むことで、次回の判断精度が上がる

このように整理できれば、自社にとってハイブリッド開催が有効かどうか、どこまでやるべきかが明確になります。
「やるかやらないか」ではなく、「どこから、どう始めるか」。その視点が最も実務的な判断軸です。

参加率も満足度も高める、ハイブリッドイベント運営を代行します。
企画設計から当日の運営、終了後の活用まで、ハイブリッドイベント運営のパートナーとして丁寧にサポートします。
私たちは、現場に根ざしたノウハウで、主催者も参加者も納得できるハイブリッドイベントの成功を支えます。

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監修者プロフィール
野本 彩乃(のもと あやの)
株式会社フロンティアチャンネル 代表取締役

音楽クリエイター、アナウンサー、イベントディレクターを経て、2015年に制作会社「株式会社フロンティアチャンネル」を創業。
ライブ配信事業では、官公庁・公共団体・大手企業のウェビナーや配信を数多く支援。
音楽・音声・映像制作から配信運用、独自のITツール開発まで、幅広いクリエイティブを手がける。
「世に残るコンテンツを創る」を信念に、現場視点とクリエイティブを融合させた運営支援を行っている。

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