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オンラインイベントの開催・運営マニュアル|準備から当日運営、注意点まで完全ガイド

オンラインイベントの開催運営マニュアル

オンラインイベントの運営で成果を上げるには、事前設計と体制構築が不可欠です。
配信トラブルや進行ミスに加え、登壇者との連携不足や参加者との一方通行なコミュニケーション、ログやデータの未活用など、見落とされがちな課題は少なくありません。

本記事では、企業が実施する製品発表会・カンファレンス・採用説明会・研修などを例に、オンラインイベントを成功に導く実践的な運営ノウハウを解説します。
企画から終了後の活用まで、各フェーズのポイントを網羅し、ウェビナーとの違いも踏まえて整理しました。

目次

オンラインイベントとは?|ウェビナーとの違いと活用シーン

オンラインイベントの定義と種類

オンラインイベントとは、インターネット上で開催されるイベント全般を指し、参加者は物理的な会場に集まることなく、各自のデバイスから参加できます。完全オンライン形式に加え、会場と配信を組み合わせたハイブリッド型も含まれます。

主な活用シーンとして、以下の形式があります。

1.展示会・製品サービス紹介イベント(販促型ウェビナー含む)
・新製品の発表会、サービス体験会など。視聴者の参加意欲を高め、購買や申込につなげることが目的。
・チャットや資料DL機能を用いて来場者とのインタラクションを図る。

2.カンファレンス・フォーラム(シンポジウム/勉強会含む)
基調講演や複数セッションを持つ形式。業界知見の共有、ブランディング、リード獲得などに活用される。

3.採用イベント・説明会
企業説明や現場社員の登壇を通じて、求職者との接点を創出。対面イベントの代替として多くの企業が導入。

4.社内イベント・表彰式
社員総会や表彰式、社内パーティーなど、社内向けのコミュニケーションを目的としたオンライン施策。

5.エンタメ・ファン向けイベント
・アーティストのライブ配信や舞台のオンライン公演、ファンミーティングなど
・視聴チケット販売やコメント参加、アーカイブ視聴など、ファンとの接点拡大やマネタイズを目的とする

いずれも「一方向の配信」だけでなく、「視聴者との双方向性」や「データ活用の前提設計」が求められる点が、従来の映像配信とは異なります。

オンラインイベントとウェビナーの違いとは?

「オンラインイベント」と「ウェビナー」は似ているようで設計思想や目的が異なります。
技術的にはどちらも同じツールで実施できますが、体験設計や運営体制の考え方に応じて、求められる構成が異なってきます。

比較項目オンラインイベントウェビナー
主な目的製品紹介・カンファレンス・交流・認知・リード獲得など多目的情報提供・研修・リード獲得など
典型的な構成複数トラック/ステージ・展示要素・スポンサー導線などセミナー/講演型(1〜数セッション)
規模・複雑さ複数セッションの同時進行、展示要素、スポンサー連携など複雑になりやすい単一セッションが中心/進行も比較的シンプル
参加者の動きチャット、展示閲覧、セッション選択など双方向性が高い登壇者→参加者の一方向が中心
使用ツール複数ツールの連携、または専用プラットフォーム活用が多いZoomなど1ツールで完結も可能

目的や体制、求められる体験設計によって、「ウェビナー型」か「オンラインイベント型」かの構成が自然と決まっていきます。

例えば、
複数セッションや展示要素、スポンサー連携がある場合:イベント型の設計が向いている
セミナー形式で情報提供・リード獲得を行いたい場合:ウェビナー構成で十分
社内向けであっても表彰や参加型コンテンツが含まれる場合:イベント設計の視点が必要

ただし、最近は「ウェビナー」という言葉を使っていても、実態は大型のオンラインイベントだったり、その逆もあったりします。

どういった企業・目的で活用されているか

オンラインイベントは、業種や企業規模を問わず、多様な目的で導入が進んでいます。活用例をカテゴリ別に整理すると、以下のケースが代表的です。

・IT企業
新機能の発表やユーザー向けカンファレンスなど、情報提供とリード獲得を両立。
⇒例:SaaS企業による年次カンファレンス(セッション×展示×資料DLで1万人超参加)
⇒例:マーケ部門主導で顧客向けに機能アップデートのオンライン説明会+質疑応答も実施

・メーカー・BtoB企業
展示会の代替や営業ツールとして、代理店・海外顧客への紹介イベントを開催。
⇒例:産業機器メーカーが3DブースとZoom接客を組み合わせた販促イベントを実施
⇒例:BtoB企業がFAQ付き動画を作成し、見込み顧客にオンデマンドで提供

・一般企業(人事・広報・経営企画)
社内外との接点強化に活用。採用・表彰・社員総会など、多用途での実施が進む。
⇒例:地方学生向けの双方向型オンライン説明会+チャットグループ招待
⇒例:社内周年イベントを配信+録画アーカイブ+コメント機能で後日視聴にも対応

・教育・医療機関
講義・研修・学会など、参加者の利便性と継続視聴を重視した活用が進む。
集合型の研修・講演・学会をオンライン化し、資料配布やアーカイブ提供による継続活用も可能に。
⇒例:医療法人による専門学会のライブ配信と後日のオンデマンド配信

・広告・メディア・エンタメ系
ブランディングやファンエンゲージメント目的での実施が増加。
⇒例:アーティストのリリース記念配信をYouTube+独自LPで開催、購入動線を設計
⇒例:広告会社が業界トレンド発表会をオンライン開催し、資料DL数で成果計測

これらの事例に共通する導入理由は以下のとおりです。
・コストの最適化(会場費・移動費・設営費の削減)
・参加ハードルの低下(地域・時間・物理的制約の解消)
・行動データの取得と分析が容易(視聴ログ・アンケート結果の活用)

もともとはコロナ禍におけるリアルイベントの代替手段として広まりましたが、現在ではむしろ、「リアルイベント以上の情報発信力と、顧客接点を可視化できる手段」として、多くの企業(&組織)の施策に定着しつつあります。

企画段階で決めること

オンラインイベントの開催運営マニュアル2

目的・KPI・対象者をどう設定するか

オンラインイベントの成果は、企画段階での「目的」「KPI」「対象者」の3要素をどれだけ明確に定義できるかにかかっています。これらが曖昧だと、メッセージがぶれてしまいます。

まずは、以下の3点を設定しましょう。

・目的(Why)
例:製品認知、資料DL数の獲得、既存顧客とのエンゲージメント向上

・KPI(何をもって成功とするか)
例:参加申込数/参加率/アンケート満足度/商談化数/視聴完了率

・対象者(誰に向けてのイベントか)
例:導入検討フェーズのリード/既存顧客/求職者/パートナー企業 など

KPIには「数値で可視化できる指標」を中心に置きつつ、営業連携やマーケティング施策との整合性も意識しておくと、社内の理解や評価も得やすいです。

セッション構成・コンテンツ内容の設計方法

次は「何をどう話すか」を具体化するステップに移ります。オンラインイベントでは、一方向の説明にとどまらず、参加者の興味・理解・行動につながる構成が求められます。

基本の設計ステップは以下のとおりです。

1.メインテーマの設定
イベント全体の軸となるメッセージを明確にします。訴求ポイントが分散すると、参加者の印象に残りにくくなります。
・新製品の価値や導入メリット
・市場動向と自社の立ち位置
・顧客の成功事例に基づいたストーリー

2.登壇形式の選定
テーマに応じて、最適な登壇スタイルを選びます。プレゼン主体か、対談形式かで視聴体験が大きく変わります。
・講演(メッセージ重視)
・対談(理解促進・親近感)
・パネルディスカッション(多角的視点の提示)
・デモンストレーション(製品理解・訴求力)

3.セッション構成と導線設計
視聴者の集中力を意識し、情報の流れと場面転換のバランスを整えます。特に複数セッションがある場合は、タイムライン全体の“リズム”設計が鍵になります。
・オープニング(導入/期待値セット)
・メインセッション(価値提供)
・Q&A(関心の掘り起こし)
・クロージング(告知等)

4.アーカイブを見据えた構成設計
録画データの再利用を想定し、編集しやすいセグメント設計を意識します。セッションごとに話題を明確に区切ることで、後日オンデマンド視聴や再編集がスムーズになります。

ポイントは、「参加者が自分ごととして聞けるか」です。顧客事例やユースケースを交えることで、より関心を引きやすくなります

登壇者・協力企業・スポンサーとの調整ポイント

複数の登壇者や外部企業が関わる場合、調整の煩雑さが一気に増します。以下のポイントを押さえておくとスムーズです。

・登壇依頼のタイミングと役割の明確化
候補者には早めに打診し、タイトル・話す内容・配信形式を明示する。

・資料作成・締切のガイドライン提示
テンプレートや事前リハの実施予定も含め、負担感を最小化する配慮が必要。

・スポンサー企業との露出設計
ロゴ掲載、紹介枠、セッション登壇など、対価に応じたPR方法を設計。

・社内確認と法務チェック
発言内容や資料にセンシティブな情報が含まれる場合は、事前の社内確認や法務チェックを忘れずに。

登壇者やスポンサーとの信頼関係がイベントの質に直結するため、調整は「交渉」ではなく「共創」の姿勢で進めるのが理想です。

スケジュール例|準備開始から本番までの全体工程

オンラインイベントは、配信日から逆算して準備工程を設計するのが基本です。外部登壇者や複数部門が関与する場合、初動が遅れると全体の進行に影響が出ます。

フェーズ時期(目安)主なタスク
企画開始開催8〜10週前目的・KPIの設定/ターゲット設計/構成案の草案化
出演交渉・体制整備開催6〜8週前登壇者・協力企業への依頼/内部体制の整理と役割決定
コンテンツ制作・集客準備開催4〜6週前台本・資料作成開始/告知ページ・バナー制作/配信ツールの選定
告知・集客フェーズ開催3〜5週前メルマガ・SNS告知/広告出稿/視聴申込フォーム公開
リハーサル・最終調整開催1〜2週前リハーサル実施/資料完成・確認/タイムテーブル確定
本番当日開催当日配信・進行/トラブル対応体制の運用/記録(録画)
フォロー・分析開催後〜1週間録画の公開/視聴ログ集計/アンケート送付・集計/社内レポート共有

特に「出演者との調整」と「LP制作・集客開始」のタイミングを遅らせると、後ろ倒しになるため注意が必要です。準備工程は前倒しで進めるくらいがちょうどよいと考えておきましょう。

使用ツールとシステム選定

Zoom・YouTube・Teams・Webex・Vimeoなど主要配信ツールの特徴と選定基準

成否を大きく左右するのが、使用する配信ツールの選定です。自社の目的・機能要件・運営体制に合ったツールを選ばないと、視聴体験の質や運営の安定性に悪影響を及ぼします。

代表的な配信ツールを整理しました。

ツール名主な特徴向いている用途
Zoom Webinar安定した配信、参加管理、チャット・Q&A機能、オンライン登壇者が接続しやすい一方向配信のウェビナー、講演会、リモート登壇型イベント
YouTube Live無料で大規模配信可能、アーカイブ自動保存BtoC向けPRイベント、製品発表会
Microsoft Teams Live社内利用に強み、Office365と統合社内イベント、社内向け説明会
Cisco Webexセキュリティ性が高く、企業向けに最適BtoBセミナー、金融・医療系イベント
Vimeo高画質・ブランディング性重視、広告なしアーカイブ活用重視のイベント、表彰式など

選定時のチェックポイント
・参加規模と同時視聴数の上限
・配信の安定性と画質
・チャット・Q&A・アンケートなどの双方向機能
・アーカイブ保存の有無とダウンロード可否
・企業ロゴやデザインのカスタマイズ可否
・セキュリティ(パスコード・視聴制限)

使用ツールは特定の機能だけで判断せず、全体設計との整合性でツールを選ぶことが重要です。

複数セッション/資料DL/チャット/ログ取得など必要機能の整理

オンラインイベントには、「ただ配信できれば良い」だけではなく、さまざまな機能要件が求められます。あらかじめ必要な機能を整理しておくと、後工程での手戻りを防げます。

代表的な必要機能と用途

・資料ダウンロード機能
視聴者にホワイトペーパー・製品資料などを提供

・チャット・Q&A・アンケート機能
離脱を防ぎ、参加意欲を高めるインタラクション手段

・複数セッション管理機能
同時開催・セッション切り替えに対応(例:展示会、フォーラム)

・参加ログの取得とCSVエクスポート
営業やMAツールとの連携に不可欠(視聴時間・資料DL履歴)

・セキュリティ制御(事前登録/視聴制限/個別URL発行)
登録者限定イベントや社内限定配信に必要

・録画機能
アーカイブ映像の運用や次回以降の参考として記録

これらをすべて単体ツールでまかなうのは難しいため、イベント管理ツール(例:EventHub、eventosなど)と配信ツールの組み合わせが一般的です。

システム導入時の注意点とリハーサルチェック項目

ツール選定と並んで重要なのが「配信環境の安定性」と「事前リハーサル」です。とくに初めて使用するツールや複雑な構成の場合、事前チェックの有無で当日のトラブル発生率が変わります。

導入時に注意すべきポイント
・回線速度の確保(最低でも上り10Mbps以上)
・各機器の接続確認(カメラ/マイク/スイッチャーなどが正しく接続されているか)
・音声・映像・スライドの切り替えタイミングの確認
・配信スタッフと登壇者の操作習熟度
・録画・アーカイブの保存設定と確認

リハーサルでは以下をチェックリスト化し、配信当日と同じ環境で実施するのがベストです。
・音声が正しく入力・出力されているか(ハウリングやノイズ確認)
・映像が安定して配信されているか(カメラの明るさ・ピント・構図)
・スライドや動画素材の再生確認(音ズレ/画質低下がないか)
・登壇者のマイク・カメラ操作確認(オンオフ切替えの練習)
・画面共有の動作確認(解像度や文字の見え方)
・配信画面の最終的な見え方チェック(視聴者側でどう表示されるか)
・回線の安定性チェック(予備回線・テザリングの準備)
・録画・アーカイブ保存が正常に動作するか
・スタッフ間のコミュニケーション手段(インカム/チャット)を確認
・タイムテーブルに沿った進行のリハーサル(場面転換や登壇者のスムーズな入替わり、動線のチェック等)
・チャット・Q&A機能の動作確認
・トラブル発生時のフロー確認(バックアップ体制)

機材トラブルは避けきれない前提で設計しておくことが、オンラインイベント成功の基本です。

運営チームと役割分担

 必須の運営ポジションと役割

オンラインイベントは、配信だけでなく「進行・対応・監視・記録」など多面的な運営業務を伴います。トラブルの発生を最小限に抑え、スムーズな進行を実現するためには、明確な役割分担が不可欠です。

規模や内容により、1人が複数の役割を兼任するケースもあります。小規模イベントでは、「全体ディレクター」「配信オペレーター」「チャット対応」の3つが最低限あれば運営可能です。
一方で、大規模イベントでは「進行ディレクター」「タイムキーパー」「案内・受付」などを追加し、各役割を分けることで安定した運営が実現できます。

なお、万が一のトラブルに即対応できる体制を整えるという意味で、配信操作と進行管理を兼ねることは基本的に避けるべきです。

ポジション名主な役割
全体ディレクター(責任者)企画全体の進行管理/運営メンバーの統括/当日の判断
配信ディレクター配信の責任者。映像・音声・スライド切替の段取りや機材構成を管理/技術スタッフと連携
進行ディレクター台本・タイムテーブルに沿った進行を管理/登壇者やMCへの指示出し/進行サポート担当を統括
技術スタッフ(配信オペレーター/カメラマン/音声スタッフ)配信ツール操作/映像・音声の切り替え/収録やアーカイブ管理
チャット・Q&A対応担当参加者からの質問やトラブルへの即時対応/荒らし防止も含む
進行サポート(タイムキーパー)タイムテーブル管理/登壇者への合図/進行ディレクターの補佐
案内・受付担当(場合によっては不要)開始前の案内メールやログインサポート/参加者窓口対応

イベント運営に必要な役割は、イベントの規模や内容によって最適な形が変わります。すべてのポジションを揃える必要はありません。

「小規模なら兼任でシンプルに」「大規模なら分業で安定的に」と、規模感に合わせて柔軟に配置することが、無理のない運営のポイントです。

外注すべき領域と自社で担うべき領域の判断

すべてを内製で行おうとすると、リスクや負荷が高まります。社内リソースやスキルに応じて、適切に外部パートナーを活用する判断が必要です。

外注が有効な領域
・映像・音声の技術支援(特にハイブリッド型や多拠点配信)
・配信オペレーション(Zoom/OBS/Vimeoなどツール操作)
・機材レンタルやスタジオ手配
・告知ページ制作
・配信ツール設定・運用(必要に応じて)

自社で担うべき領域
・目的設計やKPI管理など企画設計
・登壇者・関係者との調整
・当日の進行管理と意思決定
・参加者への告知・案内メール配信(顧客接点の維持のため)
・チャット・Q&A対応

判断のポイントは、「技術的で定型的な部分」は外注で、「属人的で判断が必要な部分」は社内で、という切り分けです。外注先の責任範囲と連絡フローも事前に明確化しておくことで、当日の混乱を防げます

チーム連携を高める進行表・共有ツールの作成ポイント

複数人で運営を行う場合、リアルタイムの連携精度がイベント品質に直結します。必要なのが、詳細な進行台本(タイムテーブル)と、共有ツールの事前設定です。

進行表作成のポイント
・分単位でのタイムテーブルを作成する
・誰が・何を・どのタイミングで行うかを明記する
・登壇者/スタッフ/視聴者に向けた「合図」や「きっかけ」も記載
・Zoomやスイッチャーなどの操作タイミングも併記

共有ツールの例と活用方法
・Googleスプレッドシート・Docs
 → 台本・タスクの同時編集、進捗確認に便利
・Slack・Chatwork
 → 当日の連絡手段として利用(音声ではなくテキストが原則)
・Zoomのバックチャネル(裏会議)
 → 配信外のスタッフ用Zoomを別で立てておくと連携がスムーズ
・インカム・トランシーバー
 → 進行状況の確認や操作タイミングの合図に使用。リアルタイムでの即応が必要な現場に有効

進行表は、「誰が読んでも当日の動きがわかる」ことが原則です。当日初めて参加する外部スタッフにも共有することを想定し、過不足のない構成を意識しましょう。

当日の進行とトラブル対策

オンラインイベントの開催運営マニュアル3

配信・視聴・資料DLなどでよくあるトラブルと対処法

オンラインイベント当日は、配信や視聴に関するトラブルが起こるリスクを常に想定しておく必要があります。よくあるトラブルとその対応例を以下にまとめます。

トラブルよくある原因対処法
音声が出ないマイク未接続・ミュート設定・音声設定ミス再接続、PC側・ツール側両方の設定を確認
スライドが表示されない画面共有の設定ミス一度画面共有を終了し、正しいスライド画面を選び直して共有する。複数画面がある場合は選択ミスに注意。
登壇者が接続できない回線不良・遅延代理の読み上げ担当を用意、時間調整で対応
録画されていない手動設定忘れ予備として運営側でも録画を走らせておく
動画の音声が流れない共有時に「音声を含める」にチェックし忘れ動画共有時は「音声を共有」の設定をONにする。別PCから再生する場合は、ミキサー経由で音声出力を切り替える必要あり。事前に接続・ルーティング確認を。
チャットが機能しない権限設定ミス・ツール側の不具合権限設定を確認し、必要に応じて再読み込みまたは別ツールで代替対応
参加者から「音が聞こえない」という問い合わせがくる参加者側の音声設定(ボリューム・ミュート・出力先など)が正しくできていない待機画面中にBGMを流しておくことで、視聴環境のチェックを促す。「音声が聞こえない場合の対処法」を、開始前スライドやチャット欄に掲示しておくと親切。

トラブルは発生するものとして、あらかじめ想定しておく必要があります。対応マニュアルや代替策を用意し、当日は各担当が即座に判断して対応できる体制を整えておきます。

登壇者やMCの進行フォロー、タイムテーブルの管理方法

登壇者やMCのフォローは、配信オペレーターや進行スタッフが密に連携して担うべき領域です。想定外の発言や予定変更が起きても、慌てずに調整できる体制が必要です。

進行管理の実務ポイント
・分単位のタイムテーブルをベースに進行
 → 話が長引く場合はMCが時間調整をリード

・事前に「合図方法」を取り決めておく
 → Zoomチャット、ジェスチャー、Slack通知など

・進行台本を全員が把握しておく
 → 各タイミングで誰が何をするか明示する

・突発的なトラブル時の対処フローを共有
 → 例:「登壇者の回線が切れたら司会が次の案内を読む」

MCが時間を押さえるだけでなく、視聴者の集中を保つ“場のコントロール”を行うことも、進行品質を高める要素になります。

参加者対応の想定FAQ・サポートチャットの設計

視聴者対応は「目立たないけれど、評価を左右する領域」です。初参加者やデジタル慣れしていない層にとって、つまずいた際の対応が印象に残ります。

対応体制を組む際のポイント
・想定質問(FAQ)を事前に洗い出す
 →例:視聴できない/音が聞こえない/資料はどこ?/質問はどこでできる?

・当日用のテンプレートメッセージを準備
 → チャット返信の速度と品質を両立できる

・専用のサポートチャット(Zoom内または別リンク)を設置
 → 1対1対応を想定したチャネルも用意

・対応担当者には「権限と判断基準」を明示
 → 対応を後回しにしない判断ができる状態を整える

また、対応ログを記録しておくと、終了後の振り返りや改善にも活用できます。参加者体験の質を左右するポイントとして、企画段階から視野に入れておくべきです。

終了後のフォローと資産活用

録画・アーカイブ配信の公開と管理方法

オンラインイベントは、開催当日だけで完結させるのではなく、その後のアーカイブ活用によって資産価値を最大化できます。録画データは、見逃し視聴や社内展開、営業支援など多用途での再活用が可能です。

公開と管理における主なポイント
・アーカイブ公開の形式を決める
 →例:YouTube限定公開、Vimeo、社内ポータル、ウェビナー専用LPなど

・動画の編集有無を判断する
 → 冒頭や無音時間のカット、チャット表示の非表示処理など視聴体験の最適化が必要

・閲覧条件を設けるか検討する
 →例:フォーム経由の視聴申請、パスワード設定、社内限定アクセスなど

・公開期間を設定する
 → 常時公開か、期間限定か(例:2週間のみ)

・ファイルの保存・バックアップ体制を整える
 → ファイル形式の統一と保管先(NAS/クラウド)も決めておく

・ダイジェスト映像制作
 → 次回以降の集客、社内外への実績アピール、SNSでの短尺活用に有効

視聴ログ・参加データをどう活用するか

視聴ログや参加者データは、マーケティングや営業活動に重要な一次情報です。

主な活用方法
・参加者の属性別分析(業種・役職・企業規模など)
 → 今後のイベント設計やコンテンツ改善に活用

・視聴行動の可視化(視聴開始/離脱タイミング、視聴時間)
 → 興味・関心の高いテーマやセッションを把握

・資料DL/Q&A参加/アンケート回答などの行動データ取得
 → スコアリングや営業優先度付けに活用

・MA(マーケティングオートメーション)ツールとの連携
 → シナリオメールやフォロー施策の自動化

・営業チームへのホットリード連携
 → 視聴時間が長く積極的に参加したユーザーを即座に共有

ログ活用には、事前に「どのデータを取得できるか」を把握したツール選定と設定が欠かせません。配信だけでなく「情報取得設計」まで含めて準備することが重要です。

アンケート設計とレポート作成の実務ポイント

イベント終了直後は、参加者の関心や記憶が新鮮なタイミングです。アンケートとレポートは、終了当日〜翌日までに実施・送付するのが理想です。

アンケート設計のコツ
・目的に応じて設問数は絞る(5問程度が目安)
・選択式と自由記述をバランスよく配置
・今後の企画に活かせる設問を盛り込む
・所要時間の明記とインセンティブ提示(任意)
・リマインド送信も含めて送付タイミングを設計

レポート作成時のポイント
・KPIとのギャップ分析と理由の記載
・成功要因・改善点を明確化
・定量+定性の両面から評価
・次回開催に向けた提案も含める

レポートは関係者へのフィードバックだけでなく、社内でのナレッジ蓄積や次回開催時の参考資料としても活用できます。

運営に失敗しないための注意点

コンテンツより“進行・準備”で失敗することが多い

うまくいかない理由で最も多いのは、「コンテンツの質が悪かったから」ではなく、「準備や進行が甘かったから」です。うまくいかない理由で最も多いのは、「コンテンツの質が悪かったから」ではなく、「準備や進行が甘かったから」です。

よくある失敗の典型例
・配信開始に手間取り、開始が遅れた
・登壇者が時間をオーバーし、後半が巻きになった
・資料や音声トラブルで視聴者が離脱した
・MCやスタッフの役割が曖昧で連携できなかった

どれも事前に準備・共有・リハーサルしていれば避けられる内容です。「機材・人・進行」の3点を事前に整備し、本番は“想定どおりに運ぶ”だけの状態を作っておくことが失敗を防ぐポイントです。

システムだけに頼らず、人のフォロー体制を設けるべき理由

便利なツールが多数ある一方で、「すべてを自動化できる」わけではありません。どんなにシステムを整えても、想定外の事態に対処できるのは人間だけです。

人の対応が必要になる場面の例
・参加者からの突発的な問い合わせ対応
・登壇者の接続不良や時間調整
・配信ツールや画面共有の不具合
・チャットでの不適切投稿への即時対応

こうした状況に備えて、常に「誰が対応するか」が明確になっていることが重要です。具体的には以下の体制が有効です。
・視聴者サポート担当を専任で1名以上置く
・Slackやchatworkなどのチャットツールで常時情報共有する
・司会者には“想定外時のコメントテンプレ”を渡しておく
・責任者が最終判断とリカバリー対応を担う体制にしておく

イベントの評価は、目立つトラブルがあるかどうかで大きく変わります。「想定外に対応できる余裕」と「人がいる安心感」を設計に組み込んでおくことが、質の高いイベント運営につながります。

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監修者プロフィール
鎌田 陸人(かまだ りくと)
株式会社フロンティアチャンネル 配信ディレクター
官公庁ウェビナーや大手企業のカンファレンス、国際イベントなど、多岐にわたる配信案件を担当。 配信技術の確かさと現場対応力に定評があり、安定感あるオペレーションで数多くのプロジェクトを成功に導いている。
トラブル発生時の迅速な判断力と確実なリカバリーで、数多くの配信を成功へと導いてきた。

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