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オンラインイベント完全攻略ガイド:企画・集客から効果測定、最新事例まで

オンラインイベント完全攻略ガイド:企画・集客から効果測定、最新事例まで

DX(デジタルトランスフォーメーション)が進む現代において、オンラインイベントは企業のコミュニケーション戦略において欠かせない存在となりつつあります。
特にコロナ禍を経て、オンラインでの情報発信や交流の重要性はこれまで以上に高まりました。

オンラインイベントは、対面式イベントのような場所や時間の制限を受けず、効率的に多くの人へ情報を届けることができます。さらに、参加者のデータを収集・分析しやすいため、マーケティング施策の強化や顧客とのつながりを深める手段としても非常に有効です。
本記事では、広報・イベント担当者の皆さまがオンラインイベントを成功させるために知っておきたい基本知識から戦略的な設計、実践のポイントまでをわかりやすく解説します。

目次

オンラインイベントの全貌:基礎知識、多様な種類

1.オンラインイベントとは

オンラインイベントを効果的に活用するためには、まずその定義、種類、そして最新の動向を理解することが不可欠です。

基礎知識

「オンラインイベント」とは、インターネットを介して実施されるあらゆる形式のイベントを指します。物理的な会場を必要とせず、参加者はPC、スマートフォン、タブレットなどのデバイスからアクセスできます。オンラインイベントは、大きく分けて、主催者から参加者へ一方向に情報を伝達する「配信型(一方向型)」と、参加者同士や主催者と参加者がリアルタイムでコミュニケーションを取れる「インタラクティブ型(双方向型)」の2種類があります 。

オンラインイベントの種類

対象者別分類

社外向け
・BtoC(一般消費者向け): 製品発表会、オンラインセミナー、ファンミーティング、バーチャル展示会など。
・BtoB(企業向け): ウェビナー、オンラインカンファレンス、バーチャル展示会、オンライン商談会など。

〇社内向け:
オンライン研修、全社総会、チームビルディングイベント、オンライン表彰式など。

形式別分類

〇オンラインセミナー/ウェビナー:
特定のテーマに関する知識や情報を提供する形式。リード獲得や顧客教育に有効です。

〇バーチャル展示会/バーチャルイベント:
3D空間や専用プラットフォーム上で製品やサービスを展示し、参加者と交流する形式。物理的な展示会に近い体験を提供できます。

〇オンラインカンファレンス:
複数のセッションや講演、ネットワーキングの機会を提供する大規模なイベント形式。

〇ハイブリッドイベント:
現地開催のリアルイベントとオンライン配信を組み合わせた形式。リーチの最大化と多様な参加ニーズへの対応が可能です。

なぜオンラインイベントなのか?担当者が知るべき戦略的メリット・デメリットと対策

オンラインイベントは多くのメリットを提供する一方で、いくつかのデメリットも存在します。これらを理解し、適切な対策を講じることが成功の鍵です。

メリット

〇コスト削減:
会場費、設営費、交通費、宿泊費、人件費など、リアルイベントにかかる多くのコストを大幅に削減できます。削減できた予算は、コンテンツの質の向上やプロモーション強化に再投資できます。

〇広範囲な集客:
参加する場所を問わないため、国内はもちろん海外からの参加者も集めることが可能です。これにより、集客力を飛躍的に拡大できます。

〇データ収集と分析の容易さ:
参加登録情報、視聴履歴、アンケート回答、Q&Aでの質問内容など、詳細な参加者データを容易に収集・分析できます。これらのデータは、見込み顧客の育成、マーケティング戦略の改善、コンテンツのカスタマイズに活用できます。

〇柔軟な開催と天候に左右されない利点:
会場の空き状況に左右されず、比較的柔軟に開催日時を設定できます。また、悪天候による中止や参加者減のリスクもありません。

〇コンテンツの再利用:
イベントの録画アーカイブをオンデマンドコンテンツとして再利用することで、イベント後も継続的な情報発信や顧客の獲得が可能です。

デメリットと具体的対策

〇通信トラブルリスク:
参加者側のインターネット環境や、主催者側の配信システムのトラブルにより、イベントが中断したり、視聴品質が低下したりする可能性があります。
・対策: 信頼性の高い配信プラットフォームの選定、事前の十分な機材・進行のリハーサル、安定したインターネット回線の確保、バックアッププランの準備が不可欠です。

〇参加者の離脱・集中力維持の難しさ:
一方的な情報提供が続くと、参加者が飽きてしまい、途中離脱する可能性があります。
・対策: Q&Aセッション、ライブ投票、チャット、クイズ、ブレイクアウトルームなど、参加型の要素を積極的に取り入れ、参加者を飽きさせない工夫が必要です。また、コンテンツの質を高め、魅力的なスピーカーを起用することも重要です。

〇画面の見にくさ・デバイス互換性:
参加者が使用するデバイス(PC、スマートフォン、タブレット)によって、資料の文字や映像の見え方が異なる場合があります。
・対策: 資料のフォントサイズやデザインを工夫し、様々なデバイスでの表示テストを行うことが推奨されます。主要なプラットフォームはレスポンシブデザイン(デバイスのサイズに合わせてサイトの表示を最適化するデザイン)に対応しています。

〇コミュニケーションの難しさ・一体感の創造:
対面と比較して、参加者同士や主催者との深いコミュニケーションが取りにくく、一体感が生まれにくい側面があります。
・対策: バーチャルネットワーキングツール、懇親会、参加者同士が交流できるオンラインコミュニティの提供、アイスブレイクなどを活用し、積極的にコミュニケーションの機会を創出します。

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成果を最大化するオンラインイベント:企画から実行、フォローアップまでの徹底ガイド

オンラインイベントを成功させるためには、戦略的な企画、周到な準備、スムーズな実行、そして効果的なフォローアップが不可欠です。

目的設定とターゲットオーディエンスの明確化

〇目的設定:
イベントを通じて何を達成したいのか(例:リード(見込み顧客)獲得数、ブランド認知度向上率、顧客満足度スコアなど)を具体的かつ測定可能な目標として設定します。イベントの目的を、全体のビジネス戦略やPR戦略と整合させることが重要です。

〇ターゲットオーディエンスの明確化:
どのような層に情報を届けたいのか、ターゲットオーディエンスの具体的なペルソナ(年齢、役職、興味関心、課題など)を詳細に定義します。これにより、コンテンツ内容やプロモーション戦略が最適化されます。

 魅力的なコンテンツ企画と構成

〇オーディエンスのニーズを捉える:
ターゲットオーディエンスが何を求めているのか、どのような情報に価値を感じるのかを徹底的にリサーチし、それに応えるコンテンツを企画します。

〇多様なセッション形式:
講演、パネルディスカッション、ワークショップ、Q&Aセッション、事例紹介など、多様な形式を組み合わせ、参加者を飽きさせない構成を心がけます。

〇魅力的なスピーカーの選定:
テーマに関する専門知識や実績があり、かつ魅力的なプレゼンテーションができるスピーカーを選定します。

〇社内イベントの工夫:
社内イベントの場合は、オンラインゲーム、クイズ大会、バーチャルランチ会など、楽しみながら交流できる企画を取り入れるとエンゲージメントが高まります。

関連記事:運営代行のプロが選ぶ!社内オンラインイベントおすすめ企画例14選

最適な配信プラットフォーム・ツールの選定と比較

〇イベント規模・参加者数:
対応可能な最大参加者数を確認します。
インタラクティブ機能: Q&A、投票、チャット、ブレイクアウトルーム、アンケートなどの機能が充実しているか。

〇マーケティング連携:
CRM(顧客関係管理)やMA(マーケティングオートメーション)ツールとの連携が可能か。

〇ブランディング・カスタマイズ性:
イベントページや配信画面を自社ブランドに合わせてカスタマイズできるか。

〇セキュリティ:
参加者情報や配信コンテンツを保護するためのセキュリティ機能が十分か。

〇予算:
初期費用、月額費用、従量課金などを比較検討します。

〇使いやすさ:
主催者側も参加者側も直感的に操作できるか。

〇サポート体制:
日本語でのサポートや、トラブル発生時の対応が迅速か

主要オンラインイベントツール比較(企業向け機能比較)

ツール名最適な用途最大参加者数目安主要インタラクティブ機能マーケティング連携 (CRM/MA)セキュリティ機能価格帯目安日本語サポート
Zoom Meetings/Webinarウェビナー、中小規模会議、研修 プランによる (例: Webinar 500人~)Q&A、投票、チャット、ブレイクアウトルーム、挙手、画面共有 一部可能 (連携アプリ経由)パスワード保護、待機室、暗号化 無料~高価格帯 あり
Microsoft Teams社内会議、共同作業、小規模ウェビナー プランによる (例: 最大1,000人)チャット、画面共有、録画、背景ぼかし、挙手Microsoft Dynamics連携アクセス制御、暗号化無料~中価格帯 あり
Google Meet小規模会議、教育、手軽なウェビナー プランによる (例: 最大500人)チャット、画面共有、録画 (有料版)、Q&A、投票Google Workspace連携暗号化、不正アクセス対策無料~中価格帯 あり
YouTube Live大規模配信、一般公開イベント、製品発表 無制限ライブチャット、スーパーチャット、アンケート (外部ツール連携)Google Analytics連携公開/限定公開設定無料あり
EventHubBtoB向けオンラインイベント全般、展示会、ハイブリッド 要問合せネットワーキング、ブース機能、資料DL、アンケート、Q&A、チャット MA/CRM連携可能 IP制限、SSO要問合せあり
Cisco Webex Events (Webinars)大規模ウェビナー、企業向けイベント プランによる (例: 最大10万人)Q&A、投票、チャット、ブレイクアウトセッション、ジェスチャー認識Salesforce等連携可能 高度なセキュリティ機能 (E2E暗号化等) 中~高価格帯 あり

効果的な集客戦略とプロモーション手法

どれだけ素晴らしいオンラインイベントを企画しても、参加者が集まらなければ意味がありません。戦略的な集客活動が不可欠です。

〇複数の媒体を活用したプロモーション
自社ウェブサイト/ブログ: イベント告知ページや関連記事を作成し、SEO対策を施します 。

メールマーケティング: 既存顧客リストや見込み客リストに対し、パーソナライズされた案内メールを配信します。

┗SNS活用: Facebook、X (旧Twitter)、LinkedIn、Instagramなど、ターゲット層に合ったSNSで情報を発信し、広告も活用します 。イベント専用ハッシュタグも有効です。

┗プレスリリース: 新規性の高いイベントや著名な登壇者がいる場合は、プレスリリースを配信しメディア露出を狙います。

┗有料広告: リスティング広告、SNS広告、ディスプレイ広告などを活用し、ターゲット層へ的確にアプローチします。

┗イベントポータルサイト/カレンダー: 関連性の高いイベント告知サイトに情報を掲載します。
共催/協賛パートナーとの連携: 協賛パートナーにも告知協力を依頼し、リーチを拡大します。

〇魅力的なメッセージング:
参加することで得られる具体的なメリット(限定情報、スキルアップ、ネットワーキング機会など)を明確に伝え、参加意欲を高めます。

〇早期割引・特典:
早期申込者向けの割引や特典を用意し、早めの登録を促します。

〇リマインド:
イベント開催前、数日前、当日にリマインドメールを送信し、参加忘れを防ぎます。

〇イベント前のエンゲージメント:
イベント開催前からSNSやコミュニティで情報を小出しにしたり、スピーカー紹介を行ったりして期待感を高めます

効果的なオンラインイベントのプロモーションは、単に情報を広めるだけでなく、ターゲットを絞ったアプローチとイベント前の「期待感」やコミュニティの作成が重要です。特に価値を求める専門的なオーディエンスに対しては、イベント開催前に積極的なエンゲージメント(例:LinkedInグループの活用、ティザーコンテンツの配信、講演者との事前Q&Aセッションなど)を行うことで、関心と登録者数を大幅に高めることができます。

配信環境の準備とテクニカルリハーサル

スムーズなイベント運営のためには、配信環境の整備と入念なリハーサルが不可欠です。

〇配信機材の確認:
高品質なカメラ、マイク、照明、安定したインターネット回線(有線LAN推奨)を準備します。必要に応じて専門業者に依頼することも検討しましょう。

〇プラットフォーム設定:
選定した配信プラットフォームの各種設定(参加登録フォーム、配信画面レイアウト、インタラクティブ機能など)を事前に行います。

〇テクニカルリハーサル:
イベント本番と同じ環境・機材・スタッフで、一連の流れ(受付、オープニング、各セッション、インタラクション、クロージングなど)を通しで行います。音声、映像、画面共有、資料切り替え、インタラクティブ機能の動作などを徹底的に確認します。

〇トラブルシューティング計画:
音声が出ない、映像が途切れる、プラットフォームにログインできないなど、想定されるトラブルとその対処法をまとめたマニュアルを作成し、運営スタッフ間で共有します。

イベント当日の運営と参加者エンゲージメント向上策

〇スムーズな進行:
司会者やモデレーターは、タイムスケジュールに沿ってイベントを進行し、セッション間の移行をスムーズに行います。

〇テクニカルサポート体制:
参加者からの技術的な問い合わせに対応する専門スタッフを配置します。

〇インタラクティブ要素の活用:
┗ライブQ&A、チャット:
参加者からの質問やコメントをリアルタイムで受け付け、スピーカーが回答したり、モデレーターが取り上げたりします。

┗ライブ投票、アンケート: セッションの途中で投票やアンケートを実施し、参加者の意見をリアルタイムで共有します。

┗ゲーム要素の導入: クイズ、コンテスト、ポイントシステムなどを導入し、楽しみながら参加できる要素を取り入れます。

┗バーチャルネットワーキング: 専用のブレイクアウトルームやネットワーキングツールを活用し、参加者同士やスピーカーとの交流を促進します。

〇参加者の集中力を維持する工夫:
定期的な休憩、視覚的に飽きさせない画面構成、スピーカーの熱意ある話し方などが重要です。

〇積極的な声かけ:
チャットやQ&Aでの発言を促したり、参加者への感謝を伝えたりすることで、一体感を醸成します。

イベント後のフォローアップと関係構築

〇お礼メールの送信:
イベント終了後、速やかに参加者へ感謝のメールを送ります。

〇録画アーカイブ・資料の共有:
イベントの録画映像や使用した資料を、参加者限定で共有します(あるいは一般公開してさらなる見込み顧客獲得を目指す)。これにより、当日参加できなかった人や、内容を再確認したい人の満足度を高めます。

〇アンケートの実施と分析:
イベントに関するアンケートを実施し、参加者の満足度、改善点、今後のニーズなどを把握します。集計結果は次回の企画に活かします。

〇リード(見込み顧客)へのアプローチ:
獲得したリードに対し、イベント内容に関連する情報提供や、個別相談の案内など、継続的なコミュニケーションを行い、商談化へと繋げます。

〇コミュニティ形成:
イベント参加者専用のオンラインコミュニティ(SNSグループなど)を運営し、継続的な情報交換や交流の場を提供することも有効です。

〇次回イベントの案内:
次回開催予定のイベントがあれば、優先的に案内します。

【実践事例】目的別オンラインイベント成功の秘訣とフロンティアチャンネル独自ノウハウ

4.オンラインイベントのデメリット

ここでは、具体的な目的別にオンラインイベントの成功事例と、フロンティアチャンネルが持つノウハウの一端をご紹介します。(守秘義務の観点から、事例は一部脚色・匿名化しています)

BtoB向けウェビナー

〇事例概要:
あるITソリューション企業が、新製品の認知度向上と質の高いリード獲得を目的に、業界の最新トレンドと自社製品の活用法を解説するウェビナーを実施。

〇エンゲージメント戦術:
ライブQ&Aセッションを充実させ、参加者の疑問にリアルタイムで回答。また、ウェビナー中に製品デモへの誘導CTAを効果的に配置。

〇成果:
目標を大幅に上回るリード数を獲得。特にQ&Aでの具体的な質問から、確度の高い見込み客を特定できた。
フロンティアチャンネルのノウハウ:Q&Aツールなどのインタラクティブツールの活用と配信画面の見せ方や配置

大規模社内コミュニケーションイベント(従業員エンゲージメント向上)

〇事例概要:
全国に拠点を持つ企業が、全従業員の一体感醸成と経営方針の浸透を目的に、オンラインでの全社総会と表彰式を実施。

〇エンゲージメント戦術:
双方向性を重視し、リアルタイムでのコメント投稿や投票機能を活用。また、ブレイクアウトルーム機能を使った部門横断の小グループディスカッションの時間を設け、従業員同士のコミュニケーションを促進。開始直後からイベントに引き込むためのオープニングムービーの作成

〇成果:
従業員のイベント満足度が非常に高く、経営方針への理解度も向上。社内の一体感が醸成されたとの声が多数寄せられた。

〇フロンティアチャンネルのノウハウ:
大規模配信でも安定した接続を確保する技術力と、参加者を飽きさせない企画・運営ノウハウ。また、社内イベントの目的に合わせた最適なプラットフォーム選定と活用方法を提案。

成果を出すハイブリッドイベント(広範なリーチとエンゲージメントの実現)

〇事例概要:
ある業界団体が、年次カンファレンスをリアル会場とオンライン配信のハイブリッド形式で実施。最新技術の展示と専門家による講演がメインコンテンツ。

〇企画・プロモーション:
リアル参加者には限定のネットワーキング機会や実機体験を提供し、オンライン参加者には場所を選ばない利便性とオンデマンド視聴のメリットを訴求。両方のターゲットに合わせたプロモーションを展開。

〇エンゲージメント戦術:
リアル会場の熱気をオンラインでも伝えるためのカメラワークや演出を工夫。オンライン参加者向けの専用Q&Aセッションや、リアルとオンラインの参加者が交流できるプラットフォームを導入。

〇成果:
リアル参加者数は過去最高を記録し、オンラインでも国内外から多数の参加者を集めることに成功。イベント後のアンケートでは、ハイブリッド形式への高い満足度が示された。

〇フロンティアチャンネルのノウハウ:
リアル会場の運営ノウハウとオンライン配信技術を融合させ、双方の参加者にとって価値の高い体験を創出。複雑な技術要件にも対応できる専門チームがサポート。

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オンラインイベントの2025最新トレンド

5.オンラインイベントの流れ

オンラインイベントの分野は、今もなお進化を続けています。
2025年に向けて、特に注目しておきたい最新トレンドを以下にご紹介します。

〇AIの活用:
イベントのカスタマイズ、コンテンツ最適化、データ分析、さらにはイベント運営の自動化など、AIの活用範囲は拡大しています。

〇没入型体験の進化 (メタバース・VR):
メタバースやVR技術を活用した、よりリアルで没入感の高いイベント体験が増加傾向にあります。アバターを通じた交流や、仮想空間内での対話的な体験が注目されています。

〇ハイブリッドイベントの定着と高度化:
リアルとオンラインの長所を融合させたハイブリッドイベントは、今後も主要な形式として定着すると考えられます

〇データを活用した戦略 :
参加者データの収集・分析を基にした、より正確なターゲティング、コンテンツ最適化などが重視されます。

オンラインイベントの進化は、単なる情報伝達の手段から、より双方向的で没入感があり、データに基づいた戦略的なイベントへと変化しています。データ収集とその活用の重視によって、オンラインイベントは単なるイベント実施から企画・集客・効果測定まで、戦略的かつ測定可能な成果を追求する方向にシフトしています。したがって、広報・イベント担当者は、「オンラインイベント」がただのイベントではなく、多様な可能性を秘めたものであることを理解し、それらを活用することが将来の成功に繋がることを認識する必要があります。

オンラインイベント形式別比較:特徴・対象・活用例

イベントタイプ主な特徴対象オーディエンス企業における活用例メリットデメリット
ウェビナー/オンラインセミナー講師中心、情報提供型、Q&A、チャット機能 BtoB、BtoC、社内リード獲得、製品説明、専門知識共有、社員研修、顧客教育 広範囲リーチ、コスト効率、データ収集容易 参加者の集中力維持の難しさ、双方向性の限界 
バーチャルカンファレンス複数セッション、基調講演、分科会、ネットワーキング機能BtoB、BtoC、学術界業界イベント、大規模研修、国際会議地理的制約なし、多様なコンテンツ提供、録画による再視聴可能複雑なプラットフォーム操作、技術的ハードル、ネットワーキングの質の担保の難しさ
ハイブリッドイベント現地参加とオンライン参加の組み合わせ、双方へのコンテンツ提供、交流機会の設計 BtoB、BtoC、社内大規模セミナー、展示会、株主総会、社内キックオフリーチ最大化、柔軟な参加形態、現地とオンラインの利点享受企画・運営の複雑性、コスト増の可能性、オンライン参加者の疎外感防止策が必要
社内オンライン会議/研修情報共有、意思決定、スキルアップ、チームビルディング社員定例会議、プロジェクト進捗報告、新入社員研修、リーダーシップ研修時間・場所の柔軟性、移動コスト削減、録画によるナレッジ共有コミュニケーションの質の低下懸念、対面コミュニケーションの少なさ、参加意欲の維持の難しさ
バーチャル展示会3Dブース、製品デモ、チャット商談、資料ダウンロードBtoB、BtoC新製品発表、業界特化型展示会、企業PR物理的制約なし、出展コスト削減の可能性、リード獲得とデータ収集の効率化 没入感の限界、来場者の能動的行動依存、リアルな体験の代替困難

オンラインイベントの効果を可視化する:KPI設定とROI向上の戦略

7.オンラインイベントの成功事例

オンラインイベントの成果を正しく評価し、継続的な改善に繋げるためには、適切なKPI(重要業績評価指標)の設定とROI(投資対効果)の測定が不可欠です。

目的別KPI設定

イベントの目的に応じて、測定すべきKPIは異なります。

〇リード獲得:
・申込者数、参加者数
・有効リード数(MQL: Marketing Qualified Lead、SQL: Sales Qualified Lead)
・商談化数、受注数、受注額
・リード獲得単価(CPL: Cost Per Lead)

〇ブランド認知度向上:
・イベントページビュー数、ユニークユーザー数
・SNSでの言及数、インプレッション数、エンゲージメント率
・ブランド名や関連キーワードでの検索数増加
・メディア掲載数

〇顧客エンゲージメント/ナーチャリング:
・出席率、平均視聴時間
・チャット/Q&A投稿数、投票参加率
・アンケート回答率、満足度スコア
・資料ダウンロード数

〇社内エンゲージメント:
・参加率
・アンケートによる満足度、理解度スコア
・イベント後の行動変容(例:新制度の利用率向上など)

効果測定とデータ分析

設定したKPIを測定するためには、各種ツールを活用したデータ収集と分析が必要です。

〇追跡ツール
 ・配信プラットフォームの分析機能: 多くのプラットフォームには、参加者数、視聴時間、Q&A履歴などの分析機能が備わっています。
 ・Google Analytics: イベント告知ページや関連ウェブサイトのトラフィック、ユーザー行動を分析します。
 ・CRM/MAツール: リード情報とイベント参加データを紐付け、その後の行動を追跡します。

〇データの解釈:
収集したデータを多角的に分析し、イベントの成果や課題を客観的に評価します。単一の指標だけでなく、複数の指標を組み合わせて判断することが重要です。

ROIの計算方法と向上策

ROIは、イベントへの投資額に対してどれだけの利益が得られたかを示す指標です。

〇ROIの基本計算式:
ROI (%) = (イベントによる利益額 – イベント投資額) ÷ イベント投資額 × 100

・「イベントによる利益額」は、目的によって定義が異なります。例えば、リード獲得が目的なら「獲得リードからの期待売上額」、製品販売なら「イベント経由の売上額」など。

・「イベント投資額」には、企画費、人件費、ツール利用料、広告宣伝費などが含まれます。

〇ROI最大化戦略:
┗明確な目標設定とターゲティング:
ROI向上の第一歩は、達成可能な目標を設定し、適切なオーディエンスにリーチすることです。

┗魅力的なコンテンツと体験の提供: 参加者の満足度を高めることが、結果的にROI向上に繋がります。
効果的なプロモーション: 費用対効果の高い集客チャネルを見極め、効率的にターゲット層へリーチします。

┗イベント後のリード育成の徹底: 獲得したリードを放置せず、継続的なコミュニケーションを通じて商談・受注へと繋げることがROIを大きく左右します。

┗コスト管理の最適化: 無駄な支出を抑え、費用対効果の高いツールや手法を選択します。

┗長期的なROIの追跡: イベント直後の成果だけでなく、数ヶ月単位での長期的な影響(例:ブランドイメージ向上による間接的な売上増など)も考慮に入れることが望ましいです。

企業オンラインイベントの主要KPIと測定方法

イベント目的主要KPI測定ツール/方法目標ベンチマーク(例)
リードジェネレーション申込者数、有効リード数(MQL/SQL)、商談化数、受注数、リード獲得単価イベントプラットフォーム分析、CRM/MAツール、営業報告リード獲得数100件、商談化率20%
ブランド認知度向上イベントLPのPV数・UU数、SNSでの言及数・エンゲージメント率、ブランド名検索数、メディア掲載数Web解析ツール (Google Analytics等)、SNS分析ツール、メディアモニタリングツールイベントLPのPV数 50%増、ブランド名検索数 20%増
顧客エンゲージメント/ナーチャリング参加率、平均視聴時間、チャット/Q&A投稿数、アンケート回答率・満足度スコア、資料DL数イベントプラットフォーム分析、アンケートツール参加率70%、満足度スコア4.0/5.0以上
社員研修/情報共有 (社内イベント)参加率、理解度テストのスコア、研修後アンケートでの満足度・行動変容意向、ナレッジ共有度学習管理システム、アンケートツール、社内サーベイ理解度テスト平均点80点、行動変容意向を持つ社員80%
製品・サービス販促デモ視聴数、特定機能への関心度(クリック数等)、トライアル申込数、イベント経由の売上高イベントプラットフォーム分析、Web解析ツール、CRM/SFAツールトライアル申込数50件、イベント経由売上XXX万円

オンラインイベント担当者必携:重要専門用語集

オンラインイベントについてまとめ

オンラインイベントを企画・運営する上で、頻繁に登場する専門用語を理解しておくことは非常に重要です。ここでは主要な用語を解説します。

〇ウェビナー (Webinar):
ウェブ (Web) とセミナー (Seminar) を組み合わせた造語。オンライン上で開催されるセミナーのこと。

〇バーチャルイベント (Virtual Event):
仮想空間(メタバースなど)やオンラインプラットフォーム上で実施される、展示会、カンファレンス、交流イベントなど、より没入型・体験型の要素を含むオンラインイベントの総称。

〇ハイブリッドイベント (Hybrid Event):
リアル(対面)会場での開催と、オンラインでのライブ配信や参加を組み合わせた形式のイベント。

〇メタバース (Metaverse):
インターネット上に構築された3次元の仮想空間。アバターを通じて他者と交流したり、様々な活動を行ったりできる。オンラインイベントの新たな舞台として注目されている。

〇ROI (Return on Investment / 投資対効果):
投じた費用に対してどれだけの利益や成果が得られたかを示す指標。

〇KPI (Key Performance Indicator / 重要業績評価指標):
目標達成に向けて、その達成度合いを計測・評価するための具体的な指標。

〇CTA (Call to Action / 行動喚起):
ウェブサイト訪問者やイベント参加者に対し、具体的な行動(例:資料請求、問い合わせ、購入など)を促すためのボタンやテキストリンクなど。

〇リードジェネレーション (Lead Generation):
見込み客(リード)を獲得するための活動。オンラインイベントは有効なリードジェネレーション手段の一つ。

〇エンゲージメント (Engagement):
イベント参加者の関与度合いや、ブランド・コンテンツへの愛着度。チャット参加、Q&A投稿、アンケート回答、SNSでの反応などで測られる。

〇配信プラットフォーム (Streaming Platform):
オンラインイベントをライブ配信したり、オンデマンド配信したりするための基盤となるシステムやサービス(例:Zoom、YouTube Live、EventHubなど)。

〇アーカイブ配信 (Archive Streaming / On-demand Streaming):
ライブ配信したイベントの録画映像を、後日視聴できるように公開すること。

〇MA (Marketing Automation / マーケティングオートメーション):
マーケティング活動を自動化・効率化するためのツールや仕組み。リード育成などに活用される。

〇CRM (Customer Relationship Management / 顧客関係管理):
顧客情報を一元管理し、顧客との良好な関係を構築・維持するための戦略やツール。

これらの用語を理解し、適切に活用することで、オンラインイベントの企画・運営・効果測定をよりスムーズかつ効果的に進めることができます。

まとめ:オンラインイベント成功の鍵は戦略と実行力、そして継続的な改善

本記事では、広報・イベント担当者の皆様に向けて、オンラインイベントを成功に導くための包括的なガイドをお届けしました。オンラインイベントは、もはや単なる代替手段ではなく、企業戦略において不可欠な要素となっています。

成功の鍵は、明確な目的設定、ターゲットオーディエンスの深い理解、魅力的なコンテンツ企画、最適なプラットフォーム選定、効果的な集客戦略、入念な準備とリハーサル、参加者を惹きつける当日の運営、そして成果に繋げるフォローアップという一連のプロセスを、戦略的に、かつ高い実行力を持って推進することにあります。

さらに、KPIとROIを意識した効果測定を行い、そこから得られたデータとフィードバックを基に継続的な改善を重ねていくことが、オンラインイベントの効果を最大化し、ひいては事業成長に貢献する道筋となるでしょう。

フロンティアチャンネルは、これまでに培ってきた豊富な経験と専門知識を活かし、オンラインイベントの配信から効果測定に至るまで、あらゆるフェーズでお客様を強力にサポートいたします。
「オンラインイベントで成果を出したいが、何から始めれば良いかわからない」
「自社だけではリソースやノウハウが不足している」
このようなお悩みをお持ちでしたら、ぜひ一度フロンティアチャンネルにご相談ください。貴社の目的や課題に合わせた最適なオンラインイベント戦略をご提案し、成功へと導くお手伝いをさせていただきます。

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