【保存版】研修動画の制作ガイド|形式・作り方・費用相場まで徹底解説!

かつて研修といえば、集合形式が当たり前でした。しかし近年では、研修動画を活用したオンライン研修が広がりを見せています。
研修動画には集合研修にはない多くのメリットがある一方で、特有の注意点も存在します。
本記事では、研修動画のメリットや注意点、制作方法までを詳しくご紹介します。
目次
研修動画とは?
研修動画とは、研修の内容を事前に映像コンテンツとして制作し、受講者が動画を視聴することで行う研修形式です。映像は、実際の講義を収録したものだけでなく、アニメーションやスライドを用いたものなどもあります。
インターネット環境と、動画再生が可能なスマホやパソコンなどのデバイスさえあれば、時間や場所を問わず手軽に受講できるのが大きな特徴です。
この記事では、研修動画の活用方法や事例についてもご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
研修動画のメリットと効果
・時間・場所を選ばず視聴可能
時間や場所にとらわれず受講できるため、日本各地はもちろん、海外に居住している参加者にも対応可能です。
そのため、幅広い受講者に対して柔軟に研修を提供することができます。

・繰り返し視聴が可能
一度の研修で内容を完全に理解できなくても、動画であれば必要な部分を繰り返し見返すことができます。
つまり、参加者にとっては理解を深めるための安心材料となり、主催者にとっては質問対応や再説明の手間を減らすことができるというメリットがあります。
・コスト削減
集合研修に比べて、会場・人件費・講師費用・資料の印刷費用などを削減でき、特に、定期的に行う研修や複数回行う研修では、コスト削減の効果が高まります。
・理解度の向上
動画は、テロップや図解、表などを挿入することで、難しい内容でも視覚的に理解しやすくなります。
また、動画にすることで講師ごとの説明のばらつきをなくし、内容の質を一定に保つことができます。これにより、誰が視聴しても同じレベルの情報を得られるため、研修の平準化にもつながります。
研修動画の活用方法
・全社共通の研修(コンプライアンス・情報セキュリティなど)
毎年同じ内容を大人数に向けて実施する必要がある研修は、動画化が非常に有効です。
会場手配や運営スタッフ、講師費用、資料の印刷費用などを抑えることができ、業務効率化にもつながります。
・資格取得者および受験者向けの定期研修
資格更新が必要な有資格者はもちろん、これから資格取得を目指す受講者にとっても、研修動画は効果的です。
時間や場所にとらわれずに視聴できるため、不特定多数の対象者にも均一な内容を提供できます。
また、進捗状況や受講履歴、理解度テストの結果をシステム上で一元管理できるため、管理の手間やコストも大幅に軽減できます。
・製品・サービスの使い方研修
複雑な操作や手順を研修動画で解説することで、視覚的な理解度を高める事ができます。
また、研修動画であればいつでもどこでも見直しができるので、受講者は作業や操作を行う際に、動画を見返しながら進める事ができます。
研修動画は、「覚える」だけでなく、「確認しながら進める」スタイルを実現します。
研修動画の形式と特徴
講義形式
スライド資料と講師の説明を組み合わせた、最もスタンダードな研修動画の形式です。
実際の集合研修に近い構成で、受講者にとっても馴染みやすいのが特徴です。

デモンストレーション、マニュアル動画
作業の流れや操作手順を、実際に見せながら解説する形式です。
言葉だけでは伝わりづらい内容も、動画の場合は視覚的に理解しやすく、受講者が動画を参考にしながら手順を再現しやすいのが特長です。
研修内容をスムーズに理解・習得するために効果的な形式です。

ドキュメンタリー形式
実際の業務や活動に密着し、その流れや現場の雰囲気を伝える形式です。
登場人物の行動や考え方を映像で追うことで、受講者に具体的なイメージや、実践の理解を促す効果があります。
先輩社員や資格保有者などへのインタビューを交えることで、その人の考え方や経験に基づいたリアルな声を伝えることができ、受講者がより具体的にイメージしやすくなります。
ショートドラマ形式
研修テーマをドラマ仕立てで表現する形式です。登場人物のストーリーを通じて内容を伝えることで、感情に訴えかけ、受講者が「自分ごと」として捉えやすくなるのが特長です。
セキュリティ研修やハラスメント防止、トラブル予防のための危険予知トレーニングなど、特定の場面を想定したケーススタディ型の研修に適しています。
内容の理解だけでなく、行動変容を促したい研修にも効果的です
研修動画の事例
【事例1】ライオンペット様|ペット医療従事者向け研修を動画化
- 課題:動物病院などに勤務する全国のペット医療従事者に対し、対面型で研修を実施していたが、受講者の勤務時間や地域差によってスケジュール調整が困難であり、講師の派遣や会場手配にも多大な工数がかかっていた。
- 制作内容:講義形式の研修動画(撮影+スライド/15分×11本)
- 成果:動画化により好きな時間に受講できる環境を整備でき、受講率が向上。受講状況もオンライン上で管理できるようになった。講師や参加者のスケジュール調整が不要となり、研修運営にかかる手間やコストが大幅に削減された。
【事例2】結婚相談所ZWEI様|初対面時のマナー研修をショートドラマ形式で制作
- 課題:会員から「初対面の印象で失敗した」「マナーに自信がない」といった声が多く、実践的なアドバイスを伝えるのが難しかった。テキスト中心のマナー講座では集中力が続かず、途中離脱も課題となっていた。
- 制作内容:ショートドラマ形式の研修動画(3分×15本)
実際の“お見合いシーン”をモデルに、良い例・悪い例を対比しながら感情に訴える構成に。 - 成果:会員から「内容がリアルで印象に残った」「自分に置き換えて考えられた」と高評価を獲得。
意識向上がみられ、初対面時のコミュニケーションが円滑になったことで、結果的に成婚率の向上にもつながった。
【事例3】医療系B社|看護師向けの手技マニュアル動画
- 課題:現場指導のばらつきを減らし、教育の質を均一化したい
- 制作内容:チュートリアル形式のマニュアル動画(撮影+アニメーション+ナレーション+多言語字幕) 特に体内での処置や病原菌の扱いなど、実物ではイメージしづらい場面については、アニメーションを活用し視覚的に理解しやすい形で表現。
- 成果:新人の習熟スピードが向上。現場で一から教える必要が減ったことで、指導者側の負担も大幅に軽減された
研修動画の作り方
続いて、研修動画を制作する流れについてご説明します。
①企画立案、構成
目的を明確にし、「何を学ばせたいか」「どんな形式が適しているか」を決め、動画の構成案や台本を作成し、映像全体の流れを設計していきます。
また、実写で制作する場合は、撮影場所や出演者(講師・社員など)を決定し、必要に応じてロケハンやキャスティングも行います。
②撮影/素材の用意
構成に沿って、撮影や映像制作を進めていきます。
講義形式であれば固定カメラ、チュートリアル形式であれば手元の動作がわかる撮影、ドラマ形式であれば複数台のカメラを使用するなど、形式に応じて必要な機材や撮影手法が異なります。
また、インフォグラフィックスやアニメーション動画の場合は、画像・イラスト・図解などの素材を事前に用意する必要があります。③編集
撮影した映像や用意した素材に編集を加え、視聴者にとってわかりやすいコンテンツに仕上げます。
テロップや図表、BGM・効果音の挿入に加え、画像や図をアニメーションさせることで、視覚的な理解を促進し、研修内容の定着を高めることができます。研修動画を外注するには
外注する際は、映像制作会社やフリーランスへの依頼が一般的です。
以下の記事では動画制作の外注の流れや費用を抑えるポイントもご紹介しています。
関連記事▶ 動画編集を外注するには?外注費用を安く抑える方法とは?!
研修動画の制作にかかる費用の相場
研修動画の制作費用は、動画の形式・長さ・編集内容・撮影の有無などによって大きく異なりますが、以下に一般的な相場をご案内します
研修動画の制作費用の相場(目安)
内容 | 価格帯(税別) | 備考 |
---|---|---|
企画・構成(台本作成含む) | 5万〜30万円 | 内容やリサーチ量により変動 |
撮影(半日〜1日) | 10万〜40万円 | カメラマン・機材費含む/複数名体制は別途費用加算 |
編集(10分程度の動画) | 5万〜20万円 | テロップ・カット編集・簡易的な図表含む |
アニメーション制作(2D・図解) | 10万〜50万円 | 内容の複雑さ・尺に応じて大きく変動 |
ナレーション収録 | 3万〜10万円 | ナレーター使用の場合/合成音声ならコスト削減可 |
全体パッケージ(企画~納品) 20万〜100万円以上
費用が変動する要因
・修正回数やスピード対応の有無
・尺(動画の長さ)
・形式(講義・アニメ・ドラマなど)
・撮影の有無(実写か、素材ベースか)
・使用するBGM・ナレーション・CGなどの有無
製品・サービス紹介動画の制作事例、活用例研修動画の制作の外注費用を抑える方法
・形式の工夫
ショートドラマ形式やアニメーション形式は、撮影や演出、制作工程が複雑になるため、どうしても制作コストが高くなりがちです。一方で、講義形式やスライド形式などのシンプルな構成を選べば、機材や編集工数を抑えられるため、費用を低く抑えることができます。
目的や内容に応じて、無理のない形式を選ぶことがコスト管理のポイントです。
・内製化やAIツールの活用
コストを抑えたい場合は、企画から撮影・編集まですべてを外部に委託するのではなく、企画は自社で対応し、撮影および編集のみを外注する方法も検討いただくと良いでしょう。
また、AIツール(例:YOU CHANNELなど)を活用すれば編集工程も一部自動化できます。
研修動画制作における注意点
①離脱を防ぐ
研修動画は集合研修と比べて、受講者が途中で視聴をやめてしまったり、再生はしていても別の作業をしているといったケースが起こりがちです。
そのため、飽きずに最後まで視聴してもらうための工夫が欠かせません。
たとえば、設問や理解度テストを設ける、視聴意欲を高める構成や演出を工夫するなど、しっかりと学習効果を得られる設計が重要です。

②動画の長さ
研修動画が長尺になりすぎると、視聴者の集中力が続かず、内容の理解や記憶の定着が不十分になる可能性があります。
また、見返したいときに目的の箇所を探しづらく、利便性も下がってしまいます。
そのため、章ごとに短く区切る、チャプターを設定するなど、視聴しやすくするための工夫が重要です。
③双方向のコミュニケーションが生まれにくい
集合研修では、講師との質疑応答や受講者同士のグループワーク、終了後の交流などを通じて、コミュニケーションや人脈形成といった副次的な効果も期待できます。
一方で、研修動画は視聴が中心となるため、こうした相互交流の機会が得られにくい点がデメリットとして挙げられます。
必要に応じて、別途フォローアップの場や質疑応答の機会を設けるなどの工夫が求められます。
製品・サービス紹介動画制作を外注するには
下記の記事で詳しく解説しています。ぜひご覧ください。
関連記事▶ 動画編集を外注するには?外注費用を安く抑える方法とは?!
まとめ
研修動画は、「いつでも・どこでも・低コストで」実施できる点が大きな魅力で、今注目されている研修の方法です。
一方で、受講者の集中力が続きにくい、その場で質問や相談がしづらい、参加者同士の交流が生まれにくいといった課題もあります。
こうしたデメリットを補うためには、視聴後に質疑応答やフォローアップの機会を設けることや、リアルに集まって交流できる場を定期的に用意することも効果的です。
研修の目的や対象に応じて、動画と集合型をうまく組み合わせることで、より実践的で満足度の高い学びの場を実現できます。