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【企業向け】ライブ配信の準備・方法・効果的な見せ方

企業向けライブ配信の準備方法効果的な見せ方

近年、ライブ配信は企業の重要な情報発信手段となっています。新商品発表会やウェビナー、社内イベントなど活用の場は広がっていますが、経験のない担当者には「何を準備すべきか」「必要な機材や設定は」「企業らしい品質の出し方は」などの不安も多いでしょう。

本記事では、ライブ配信の準備から実施方法、効果的な見せ方までを体系的に解説します。初めてでも安心して臨めるチェックポイントやトラブル防止のコツ、配信後の録画活用まで網羅しました。

ライブ配信の基礎知識

ライブ配信とは

ライブ配信は、インターネット経由で動画や音声をリアルタイムに届ける手法です。録画配信と違い、チャットなどで視聴者と双方向のやり取りができます。企業では新商品発表会やセミナー、社内イベントなどで活用され、ZoomやYouTube Liveなど法人向け機能を備えたプラットフォームも普及しています。

主な配信形式

企業が利用する配信形式は大きく以下の3つに分けられます。

1.ウェビナー
顧客や見込み顧客向けのオンラインセミナー。製品説明や業界トレンド解説などが中心

2.イベント配信
展示会、カンファレンス、発表会などのリアルイベントをオンライン同時中継する形式

3.社内配信
社員総会、表彰式、研修、採用説明会など、社内外の特定対象者向けに配信。セキュリティやアクセス制限が重要

企業がライブ配信を活用するメリット

ライブ配信は、企業の情報発信をより簡単で幅広くします。全国や海外の視聴者にも同時に情報を届けられ、従来のイベントより幅広い層へのアプローチが可能です。

■主なメリット
・コスト効率の高さ
会場費や移動費を抑えながら、参加者数を拡大できる

・双方向性の確保
リアルタイムで質問やフィードバックを受け付けられるため、視聴者との関係性が深まる

・ブランドイメージの向上
映像・音質・進行で信頼性や先進性を視覚的に訴求できる

収録動画との違いと使い分け

ライブ配信は「即時性」が最大の強みで、発表の鮮度や臨場感を重視する場面に向きます。収録動画は編集もできるので、誤情報や不具合のリスクを避けやすいという利点があります。

■それぞれの特徴

ライブ配信収録動画
メリット・リアルタイムで届けられる・視聴者と双方向コミュニケーション可能・臨場感を演出できる・不要部分やミスを編集でカットできる・映像や音質を整えて公開可能・資料や字幕を追加できる
デメリット・失敗やトラブルがそのまま映る・回線・機材トラブルに左右される・準備や人員の負荷が大きい・鮮度が低くなる・リアルタイムのやり取り不可・編集や公開準備の工数が増える

ライブ配信と収録動画にはそれぞれ強みがあります。
そのため、「ライブで発表 → 録画を編集して後日配信」という組み合わせが効果的です。
即時性と臨場感を活かしつつ、編集したアーカイブを営業や広報にも再活用でき、イベントの価値を長く高められます。

ライブ配信に必要な基本スキル

ライブ配信を成功させるには、「配信環境」「音声」「進行」の3つの要素をバランスよく押さえる必要があります。

配信環境
・カメラ・マイク・PCの接続方法を理解する(HDMI、USB、キャプチャボードなど)
・配信ソフト(OBS/Zoom/Teams など)の基礎知識
・ネット回線や解像度・ビットレート設定、配信先との接続確認

音声
・マイクの種類と配置を正しく選ぶ
・ハウリングや環境ノイズ対策を行う
・BGMや効果音を混ぜる場合の音量バランスを調整
・複数拠点や双方向配信、映像素材の音声などを扱う場合は、ミキサーや配信ソフトでの音声ルーティング(どの音をどこに流すか)設定が必要

進行
・タイムテーブル管理と登壇者の誘導
・Q&A・チャット対応など視聴者とのやり取りのコントロール
・トラブル発生時の対応フローを把握

ライブ配信の準備

目的とターゲットの明確化

最初に整理すべきは「目的」と「ターゲット」です。ここが不十分だと、進行や内容が冗長になり、視聴者の離脱を招きます。
ターゲット像は、職種・知識レベル・視聴環境(PC/スマホ/移動中など)まで具体化することで、テーマや演出、配信形式に反映しやすくなります。

目的の例
・新商品の発表
・ブランド認知拡大
・採用説明
・社内の情報共有

ターゲットの例
・既存顧客
・潜在顧客
・取引先
・求職者
・社員

配信テーマと構成の設計

開始直後の数分間で関心を引きつけられないと、視聴維持は難しくなります。構成は想定より短めに設計し、余白を質疑応答やコメント対応に充てると間延びを防げます。

1.導入(挨拶・概要説明)
2.メインコンテンツ(発表、デモ、対談など)
3.視聴者参加パート(質疑応答、投票など)
4.クロージング(まとめ、次回案内)

必要機材と環境の整備

・ネット回線
とにかく「途切れないこと」が最優先です。可能であれば 有線LANを利用し、予備としてWi-Fiやモバイル回線などのバックアップを準備しておくと安心です。

・音声
カメラやPC内臓のマイクではなく、ピンマイクや指向性マイクを使うと、周囲の雑音を拾いにくく、聞き取りやすさが向上します。

・必須機材
マイク、配信用PC、安定したネット回線

・推奨機材
外部カメラ、照明、ミキサー、モニター、バックアップ回線、遮音対策

配信プラットフォームの選定

配信目的や機能だけでなく、安定性やトラブル時の対応しやすさ も判断基準に含めましょう。

一般公開向け
・YouTube Live:大規模配信が無料で可能。アーカイブ保存も容易
・Instagram Live / Facebook Live:フォロワー向けに気軽に発信でき、SNSでの拡散力が強い

限定配信向け
・Zoomウェビナー:Q&A機能や参加管理に優れ、セミナーや研修に最適
・Microsoft Teams:社内の既存環境と統合しやすく、業務利用に強い
・Vimeo:パスワード制限やドメイン制限などのセキュリティ設定、Webサイトへの埋め込みなどブランディング重視の企業公式配信に最適

社内配信向け
・Teams Live/Zoomウェビナー : 社員だけにリンクを配布して、社内向けに利用
・Google Meet/YouTube限定公開 : 社員アカウント限定で視聴可能
・その他専用配信プラットフォーム: セキュリティやアクセス制御が必要な大企業・官公庁で利用されるケースが多い

配信体制と役割分担の決定

兼任業務が多いと視聴者対応が疎かになりやすいため、役割は分けることが望ましいです。

・司会・進行役
・カメラ・音声オペレーター
・配信管理・チャット対応
・トラブル対応・予備スタッフ

事前テストとリハーサル

本番と同じ条件で事前確認を行うことが肝心です。リハーサルでは、トラブルをあらかじめ把握し、想定外の事態にどう対応するか を含めて確認します。

チェックしておきたいポイント
・回線速度と安定性(有線LAN・予備回線のテストも実施)
・映像・音声が正常に配信されているか(途切れや遅延の有無)
・登壇者の入退場や画面共有の切り替え動作
・Q&A、チャット、投票などインタラクション機能の確認
・タイムテーブルに沿った進行リハーサル(合図や動線も含めて)
・トラブル発生時の対応フロー(代替回線・代替機材・連絡手段)

配信当日の流れと進行のコツ

ライブ配信 やり方

視聴者とのコミュニケーション

ライブ配信は、双方向のやり取りで満足度を高められます。進行役は視聴者からの反応を拾い、配信の流れに自然に組み込みます。

・コメントや質問を適宜読み上げて回答する
・質問受付時間をあらかじめ告知しておく
・名前を呼んで感謝を伝えるなど、親近感を演出する

参加型演出の活用

参加感を高めることで、離脱を防ぎます。イベント性がある仕掛けは事前に準備しておくと効果的です。

・リアルタイム投票で意見を集め、その場で結果を共有
・クイズ形式で商品やサービスの特徴を紹介
・チャットに特定キーワードを入力すると特典URLが表示される仕組み

トラブル対応の備え

配信中のトラブルは完全には避けられません。影響を最小限に抑えるには、事前の想定と対応フローの準備が重要です。

・ネット回線トラブルに備えて予備回線を用意
・機材トラブルに備えて、キャプチャーボードや分配器、ケーブル類など中継機材の予備を準備(マイクやカメラも代替があれば望ましい)
・進行役が場をつなげるためのトークやコンテンツを用意
・スタッフ間で利用する緊急連絡用のチャットや内線ツールを共有

当日または前日の最終チェックリスト

配信が始まってからの修正は難しいため、開始数時間前には以下の項目を順番に確認し、想定外のトラブルを未然に防ぎましょう。

・回線速度測定(上り10Mbps以上推奨)

・音声テスト(ノイズ・音割れの確認)
視聴者にとって音声は映像以上に重要です。雑音やハウリングがないか、マイクの距離や音量を含めて調整します。

・カメラの明るさと画角調整
照明環境に合わせて色味を調整し、出演者の顔が自然に映るかを確認します。暗すぎる場合は照明の追加も検討します。
画角(カメラの映る範囲) が広すぎたり狭すぎたりしないように調整し、不要な背景や機材が映り込まないかも確認します。

・配信プラットフォームの設定確認
事前にログイン状態と配信URLの有効性を確認しておきましょう。
配信先の設定(公開/限定公開/パスワード保護の有無、録画設定、Q&Aやチャット機能の有効化など)が想定通りになっているかも必ずチェックしてください。

・紹介資料・動画の動作確認
画面共有や動画再生がスムーズに行えるかをチェックします。音声共有の設定漏れや再生遅延にも注意します。

・緊急連絡先リストの最終共有
配信スタッフ間でトラブル発生時の連絡ルートを明確にし、連絡先リストを紙とデジタル両方で共有します。

経験者が教える現場の注意点

企業向けライブ配信の準備方法効果的な見せ方

ライブ配信は準備や進行だけでなく、現場ならではの細かな配慮が品質に影響します。経験者の間で重要視されるポイントを整理しました。

予備機材と代替手段の確保

・やること
⇒主要機材(PC・ケーブル・マイク等)の予備を用意し、回線トラブル時のモバイルルーターやテザリングも準備する。
・理由
⇒機材やケーブルの不具合は頻発し、予備がないと復旧に時間がかかる。
回線の切り替え手段もないと配信中断につながる。

雑音対策と照明調整

・やること
⇒配信前にテスト視聴を行いノイズがないか確認する。また逆光になっていないか等を確認し、顔が明るく見えるよう照明やカメラの調整をする。
・理由
空調音や外部ノイズ、逆光や暗さは映像・音声品質を大きく損ね、視聴者の離脱を招く。

不要な通知やポップアップの防止

・やること
⇒配信用PCでは、メールやチャットの通知、ソフトの自動アップデートなどのポップアップが出ないように事前設定を行う。資料を画面共有する際は特に注意する。
・理由
⇒予期せぬ通知やポップアップが画面に映ると、情報漏洩や進行の妨げにつながる。

視聴者側の体験を常に意識

・やること
⇒別デバイスで配信画面を常時モニタリングし、映像や音声の状態を確認する。
・理由
⇒現場と視聴者の環境は異なり、現場で正常でも視聴者には不具合が出ている場合があるため。

企業での活用シーンと事例

新商品・新サービス発表会

製品やサービスの魅力をリアルタイムで伝え、報道や販促にもつなげられる場です。現場の熱量をオンライン視聴者にも届けるため、映像・音声・進行の工夫が欠かせません。

・実機デモや質疑応答をライブに組み込み、報道・販促に活用
・後日の配信や資料化までを想定した撮影設計
・カメラアングル・音声の工夫で現場の臨場感を再現

顧客向けウェビナー

専門知識やノウハウを提供し、顧客の理解度や信頼感を高める施策です。準備段階から双方向性を意識すると、視聴者満足度が向上します。

・顧客の知識レベルや関心に合わせたテーマ設定
・事前アンケートで質問を収集し、配信中に回答
・アーカイブや補足資料を配布し、視聴後も価値を提供

社内イベントや社員総会

物理的に集まりづらい社員にも、組織の一体感を届けられる機会です。映像演出や参加型企画で、遠隔でも臨場感と参加感を持たせます。

・参加者にカメラオンを促し、顔が見える状態で一体感を演出
・チャットや質問募集で遠隔参加者も巻き込む
・経営層メッセージや表彰式の魅せ方を意識

採用イベントや説明会

企業文化や働く人の雰囲気をリアルに伝えられる場です。形式ばらず、率直な魅力を発信することで応募意欲を高められます。

・ブレイクアウトルーム(分科会)を活用して小グループで交流やワークを行う
・現場社員が登場し、日常や社風を率直に紹介
・匿名質問ツールで本音の質問を引き出す
・配信後は切り抜き動画をSNS等で再利用する

配信後の録画活用

アーカイブの公開設定

配信後の録画は、目的に合わせた公開設定が重要です。社外への広報なら全体公開、関係者限定なら限定公開や社内のみとするなど、適切にコントロールしましょう。

・公開範囲(全体/限定公開/社内のみ)を目的に応じて設定
・公開期間を決め、鮮度や希少性を維持
・公開ページに補足資料や関連リンクを併設

編集・再配信の方法

録画をそのまま使うのではなく、不要部分の削除やテロップ追加など編集を施すことで視聴しやすさが向上します。再配信時には新たな情報や告知を添えると効果的です。

・冒頭、終了部分のカットや不要シーンの削除
・図表やテロップを追加して理解度を高める
・再配信時は追加情報を添えて訴求力を強化

他チャネルでの二次利用

録画は一度きりではなく、多様なチャネルで再活用できます。特に切り抜きや音声化は、SNSや社内コンテンツとしての価値を高めます。

・切り抜き動画やダイジェストをSNSやオウンドメディアで発信
・社内研修教材や営業資料に転用
・音声のみ抽出し、ポッドキャストや社内ラジオとして配信

効果測定と改善のためのフィードバック収集

配信後は必ず効果を測定し、次回の改善につなげます。数値データと視聴者の声の両方から課題を見つけることが重要です。

・再生回数・平均視聴時間・離脱ポイントを分析
・視聴者アンケートやコメントから改善点を抽出
・分析結果を次回のテーマや運営方法に反映

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監修者プロフィール
野本 彩乃(のもと あやの)
株式会社フロンティアチャンネル 代表取締役

音楽クリエイター、アナウンサー、イベントディレクターを経て、2015年に制作会社「株式会社フロンティアチャンネル」を創業。ライブ配信事業では、官公庁・公共団体・大手企業のウェビナーや配信を数多く支援。音楽・音声・映像制作から配信運用、独自のITツール開発まで、幅広いクリエイティブを手がける。「世に残るコンテンツを創る」を信念に、現場視点とクリエイティブを融合させた運営支援を行っている。

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