採用動画の作り方と成功ポイントを解説|費用相場・事例・外注判断まで実務で使える実践ガイド
採用競争が激しくなるなか、企業の魅力を短時間で伝える手段として「採用動画」を活用する企業が増えています。とはいえ、どんな動画が効果的なのか、外注すべきか内製すべきか、費用はどれくらいなのかなど、判断が難しい場面も多いのではないでしょうか。
本記事では、採用動画の種類、制作の流れ、成功のポイント、費用相場を整理して解説します。あわせて、外注と内製の判断基準や、制作会社を選ぶ際に押さえる視点にも触れ、検討から制作までを一通り把握できる内容にしています。
目次
採用動画が注目される背景と目的
採用活動の現場では、情報の出し方そのものが結果を左右する場面が増えています。条件や制度を並べても読まれない。説明しているつもりでも伝わっていない。そんな違和感を抱く担当者は多いはずです。
採用動画は、その行き違いを埋める手段として使われ始めています。文字や写真だけでは伝えきれなくなった背景があり、その延長線上に動画があります。
採用市場の変化と情報量のギャップ
採用市場では、求職者が企業を調べる前提が変わってきています。求人票だけで判断する人は減り、SNSや口コミ、動画まで横断して確認する流れが当たり前になりました。
一方で、企業が発信する情報は、制度説明や条件整理に寄りがちです。「伝えている情報量は多いのに知りたい部分が埋まらない」といったズレが生まれています。働く人の雰囲気や現場の空気感は抽象的になり、判断材料が不足したまま応募や辞退が起きる……ここに動画が入り込む余地があります。
採用動画が解決できる課題
採用動画が評価されている理由は、演出の派手さではありません。採用現場の課題に対して、具体的に使える場面が多い点にあります。
ミスマッチは、仕事内容や職場のイメージが十分に共有されていない場合に起きます。
選考途中での辞退は、入社後の姿を想像しきれない不安から生まれます。
魅力が伝わらないと感じられる背景には、情報の出し方が合っていないケースもあります。
動画では、言葉だけでなく表情や話す間合いも含めて伝えられます。文章では伝えにくい雰囲気や空気感が残るため、応募前の判断材料として機能します。すべてを解決できる手段ではありませんが、課題の種類によっては有効な選択肢です。
採用動画の活用シーン
採用動画は、単体で使うものではありません。配置場所によって役割が変わります。
・説明会:企業や現場の雰囲気を短時間で伝える
・求人票:文章だけでは補いきれない情報を補足する
・SNS:関心を持ってもらうための入口として使う
・採用LP:仕事内容や職場理解を深める材料にする
・面接前:認識のズレを減らすための下地にする
採用動画の主な種類と特徴
採用動画は、目的や使いどころで中身は大きく変わります。最初に全体像を把握しておかないと、「何となくそれっぽい動画」になりがちです。
会社紹介動画
「会社全体の方向性や価値観」を伝えるための動画です。事業内容や理念、将来の展望などをまとめて見せるケースが多く、採用活動の入口で使われます。
注意したいのは、説明過多になりやすい点です。詰め込みすぎると、印象が薄れます。「どんな会社か」を完璧に説明するより、「どんな空気か」が伝わる構成のほうが反応は残ります。
社員インタビュー動画
「働く人の声」を前面に出すタイプです。求職者が知りたいのは、制度よりも日常です。どんな人が、どんな距離感で働いているのか。その疑問に答えやすい形式です。
ただし、準備不足のまま撮ると、表面的なコメントが並びます。エピソードを引き出せる設計があるかで、動画の密度が変わります。
仕事内容・業務紹介動画
「業務内容」を具体的に見せる動画です。入社後のイメージを持ってもらう役割があり、ミスマッチ対策として使われます。
ポイントは、きれいに見せすぎない点です。実際の流れや忙しさが少しでも見えると、判断材料としての価値が上がります。
オフィス紹介動画
「職場環境や設備」を伝える動画です。写真よりも動きがある分、広さや雰囲気が伝わりやすくなります。
ただし、オフィス自慢で終わると意味が薄れます。人の動きや働いている様子を交えると、生活感が残ります。
オンボーディング動画
「入社後」を見据えた動画です。研修内容や初日の流れを伝える目的で使われます。
採用動画としては後半工程ですが、安心材料として効きます。事前に知っているだけで、不安が一段下がる場面は多いです。
職種別に刺さる構成の違い
職種が変わると、見たい情報も変わります。技術職は業務の中身や裁量に目が向きやすく、営業職は成果の出し方や評価軸が気になります。接客職では、現場の雰囲気が判断材料になります。職種ごとに視点を少しずらすだけで、動画の効き方は変わります。
採用動画の作り方|制作プロセスの全体像

採用動画は、撮影から始めるとうまくいきません。先に必要なのは、何を解決したいのかを言葉にする作業です。
Step1:採用課題とペルソナを整理する
現在の採用で何が詰まっているのかを洗い出します。応募が集まらないのか、途中で辞退されているのか、入社後にズレが出ているのか。ここを曖昧にしたまま進めると、後で迷いが生じます。
同時に、誰に向けた動画なのかを決めます。新卒か中途か、経験者か未経験か。この整理が甘いと、言葉選びが散ります。撮影が始まってから方向修正する場面は、多くの場合ここに原因があります。
Step2:動画の目的を設定する
目的は一つに絞ります。応募数を増やしたい動画、理解促進を狙う動画、応募前の不安を減らしたい動画では、構成も語り口も変わります。すべてを盛り込もうとすると、印象はどうしても薄くなります。
判断に迷う場合は、「この動画を見た人に、次に何をしてほしいか」を考えます。応募してほしいのか、説明会に進んでほしいのか、面接前に理解を深めてほしいのか。そこが定まると、入れる情報も自然に絞れます。
Step3:構成案(シナリオ)を設計する
構成案は、台本ではありません。話す順番と、伝える軸を決める設計図です。
ありがちな失敗は、会社説明から入る流れです。応募者は、まだ関心を持っていません。最初に置くのは、共感できる場面や、引っかかりのある一言です。そこから少しずつ情報を足す流れを意識します。
Step4:撮影準備
準備の質は、そのまま撮影時の空気に影響します。場所は静かか、光は足りているか、背景に余計な情報が映らないか。事前確認だけで防げる問題は多くあります。
出演者にも事前に共有します。完璧に話す必要はありません。普段通りで問題ない、と伝えたほうが表情は柔らかくなります。
Step5:撮影のポイント
撮影では、音声の質を最優先にします。映像が多少粗くても、音が聞き取りやすければ成立します。逆は成立しません。
画角や光は、整えすぎない方が自然に見える場合もあります。演出で作り込むより、邪魔をしない意識がちょうど良い場面もあります。現場の空気が残ると、動画に温度が出ます。
Step6:編集のポイント
編集で印象は大きく変わります。間延びしている部分は切り、テンポを整えます。一字一句文字起こしする必要はなく、拾ってほしい言葉だけを残すようにします。
BGMは主張しすぎないものを選びます。無音が続く場面があっても問題ありません。音で埋めるより、話の邪魔をしないほうが自然に見えます。
Step7:公開の基本
完成した時点では、まだ途中です。どこに載せるかで、動画の役割は変わります。
求人票に載せるのか、採用LPに埋め込むのか、SNSに出すのか。同じ動画でも、そのまま使い回すのではなく、目的に合わせて長さや切り出しを調整します。最初に決めた目的に立ち返ると、判断はブレにくくなります。
採用動画の成功ポイント
採用動画は、作り方をなぞるだけでは十分ではありません。同じ工程を踏んでも、伝わる動画と流れて終わる動画に分かれます。その差は、細かい設計にあります。
最初の10秒で「視聴する理由」を提示する
動画は、再生された瞬間から選別されています。冒頭で引っかかりがないと、即閉じられます。長さに関係なく、この傾向は変わりません。
最初に入れるのは、会社紹介ではありません。働く場面の一コマや、率直な一言のほうが残ります。続きが気になるかどうかに意識を向けた構成のほうが、最後まで見てもらいやすくなります。
リアリティを担保する出演者とメッセージ設計
採用動画では、上手に話す人より、普段に近い人のほうが信頼されます。言葉が少し詰まっても問題ありません。考えながら話している様子が、そのまま空気感になります。
メッセージも同様です。整えすぎた表現より、実感のある言葉が残ります。視聴者は、完成度よりも現実らしさを見ています。
求職者が知りたい本音情報をしっかり入れる
知りたいのは、良い話だけではありません。忙しさや大変さ、慣れるまでの戸惑い……そうした話が少し入るだけで、判断材料としての価値が上がります。現場の一面が見えるだけで、動画の信頼度は変わります。
画質より“伝わりやすさ”に予算を振り分ける
高画質な映像でも、何を伝えたいのかが曖昧だと残りません。逆に、画質が多少粗くても、話の流れが分かれば成立します。
予算が限られた場合は、編集や構成に意識を向けたほうが整理しやすくなります。照明や機材を増やす前に、伝えたい順番を整えます。順番が決まると、全体の見え方も落ち着きます。
尺と構成のベストプラクティス
最適な長さは、目的によって変わります。短くまとめる場面もあれば、少し時間をかけたほうが納得される場面もあります。
共通して言えるのは、間延びさせない点です。一つの話題が終わったら、次に進む。その切り替えがはっきりしていると、最後まで見られやすくなります。構成が整理されていれば、尺は自然に決まります。
採用動画の費用相場

費用の話になると、判断が一気に難しくなります。相場が分からないまま検討を進めると、高いのか安いのかも見えません。検討が進まない原因になりやすい部分です。
制作会社に依頼する場合の相場
制作会社の見積もり金額には幅があります。シンプルな構成なら30万円前後、企画から撮影、編集まで含めると50万〜100万円程度が一つの目安です。出演者が増えたり、撮影日数が延びると、さらに上がります。
見積書を見る際は、合計金額だけで判断せず、どこに工数が割かれているかを見ると、内容が想像しやすくなります。
自社制作に必要な機材・リソース
自社制作の場合、外注費は抑えられます。その代わり、人手と時間が必要です。最低限、撮影用のカメラ、マイク、簡単な照明、編集用のソフトが必要です。
担当者が通常業務と並行して進める場面も多いはずです。制作期間が延びやすい点は、あらかじめ想定しておいたほうが安心です。
費用が変動する要因
金額に差が出る理由は「撮影日数、出演者の人数、ロケーションの数、編集の手間」などがあります。このあたりが重なると、費用は自然に上がります。
逆に、構成が整理されている場合は、無駄な工数が減ります。準備段階で決めきれているかどうかが、最終金額に影響します。
予算別に作れる動画のイメージ
予算が少ない場合は、伝える内容を絞った動画になります。30万円前後では、社員一人のインタビューや短い業務紹介が現実的で、用途も限定されます。
50万円以上になると、構成に余裕が出てきます。複数人の出演や場面の切り替えも可能になり、100万円を超えると企画段階から全体を設計した動画が視野に入ります。
採用動画は外注と内製どちらが良いか
外注に任せるか、社内で作るか。正解は一つではありません。状況によって、向いている選択が変わります。
外注のメリット・デメリット
外注を選ぶ理由は、映像の質だけではありません。慣れた第三者が入ると、社内では気づきにくい前提のズレが表に出ます。構成の段階で立ち止まれる点は、外注ならではです。
一方で、準備不足のまま依頼すると噛み合いません。採用の状況や狙いが整理されていないと、やり取りが増え、修正に時間を取られます。任せる範囲と関わり方を決めておかないと、期待との差が出やすくなります。
内製のメリット・デメリット
内製の良さは、手軽さよりも「距離の近さ」です。普段のやり取りや空気感を、そのまま形にできる点は強みです。更新や差し替えの判断も早くなります。
ただし、進行役がいないと止まりやすいのはネックです。撮影や編集そのものより、優先順位の維持が難しくなります。途中で手が止まるケースは、技術より体制の問題で起きることが多いです。
企業規模別のおすすめパターン
・小規模な組織:内製から始める選択が合う
・中規模以上:外注と内製を組み合わせる形が現実的
・規模が大きい場合:外注を中心に設計するほうが管理しやすい
小規模な組織では、意思決定が早く、簡易的な動画でも雰囲気が伝わります。中規模以上になると、全体設計は外に任せつつ、素材の一部を社内で用意する形が噛み合いやすいです。規模が大きい場合は、表現のブレを抑える観点から、外注を軸に進めたほうが判断しやすくなります。
判断基準
判断軸は、そこまで複雑ではありません。短期間で形にしたい場合は外注が合いますし、時間をかけて積み上げたい場合は内製が向きます。
見るべきなのは、目的、使える人手、求める速さ、求める完成度です。このあたりを並べて考えると、選択肢は自然に見えてきます。どちらが正しいかではなく、今の状況に合うかで判断するほうが無理がありません。
採用動画の制作会社を選ぶポイント
外注を選ぶ場合、制作会社の選び方で結果は変わります。同じ予算でも、ヒアリングの深さや設計の考え方によって、仕上がりの納得感はかなり違ってきます。価格や知名度だけで決めると、採用で使いにくい動画になります。
採用領域の制作実績があるか
映像制作の経験が豊富でも、採用向けで通用するとは限りません。採用は、商品紹介やブランディングと前提が違います。応募者の判断材料になっているか、その視点が入っているかが重要です。
過去の制作物を見る際は、映像の質だけで判断せず、誰に向けた内容か、使われた場面が想像できるかをチェックします。
企画・構成力(課題理解力)があるか
動画の話に入る前に、採用の状況を丁寧に聞こうとするかどうか。その姿勢で、進めやすさはかなり変わります。
課題を言語化できていない段階でも、整理を手伝ってくれる会社があります。一方で、撮る前の会話が表面的だと、仕上がりも表面的になりがちです。
見積りの根拠と透明性
金額だけ提示されても、判断はできません。撮影日数、編集工程、修正対応など、どこに時間がかかるのかが分かる見積りかどうかを確認します。
説明が曖昧な場合、後から調整が増える可能性があります。数字の裏側が見えると、相談もしやすくなります。
撮影・編集の品質管理体制
現場で誰が何を担当するのかも確認します。撮影を外部スタッフに任せきりなのか、編集まで同じチームで見ているのか。その違いは仕上がりに出ます。
チェック体制が明確だと、修正のやり取りもスムーズです。安心して任せられるかどうかは、体制の説明を聞くと見えてきます。
まとめ
採用動画は、撮影や編集の話に入る前に、結果の方向性が決まります。誰に向けて、何を伝えたいのか。その整理ができているかどうかで、完成後の納得感は変わります。
種類や作り方、費用、外注か内製かといった検討項目は多いですが、すべてを一度に決める必要はありません。採用課題を起点に考え、目的を一つに定めるという順番を外さなければ、判断は複雑になりません。
動画は万能な施策ではありませんが、情報の伝え方を補う力は持っています。条件や制度では伝わりにくい部分をどう見せるか。そこに意識を向けると、採用動画の役割がはっきりします。
まずは、今の採用でどこが詰まっているかを言葉にしてみましょう。
そこが定まれば、どんな動画が必要かも自然に見えてきます。
| 採用動画を作るかどうか以前に、採用で何が詰まっているのかを整理したい。 そんな段階からの相談も可能です。 制作ありきではなく、必要かどうかを一緒に考えたい方は、こちらからご相談ください。 ➡︎株式会社フロンティアチャンネルの動画制作について詳しくはこちら 動画制作専用お問い合わせフォーム |
監修者プロフィール野本 彩乃(のもと あやの)
株式会社フロンティアチャンネル 代表取締役
音楽クリエイター、アナウンサー、イベントディレクターを経て、2015年に制作会社「株式会社フロンティアチャンネル」を創業。ライブ配信事業では、官公庁・公共団体・大手企業のウェビナーや配信を数多く支援。音楽・音声・映像制作から配信運用、独自のITツール開発まで、幅広いクリエイティブを手がける。「世に残るコンテンツを創る」を信念に、現場視点とクリエイティブを融合させた運営支援を行っている。