Zoomは無料と有料でどう違う?料金・プランの仕組みを解説
商談や研修、ウェビナーなどをZoomで実施する際、無料プランでは「時間制限」や「参加人数制限」が障壁になります。そのため、多くの企業や個人事業主が有料プランを検討しますが、「どのプランを選べばよいのか」「本当に有料化が必要なのか」「月額契約と年間契約はどちらが適しているのか」といった悩みを抱える人も少なくありません。
この記事では、無料版と有料版の違い、最新機能、料金プランの比較をわかりやすく整理し、目的に合わせて最適なプランを選ぶための考え方を解説します。
目次
Zoom無料版と有料版の違い
Zoomには「無料プラン(Basic)」と複数の有料プランがあります。
両者の違いを、時間制限・参加人数・機能面から確認します。
時間制限と参加人数制限の違い
Zoom無料プランでは、1回のミーティングが40分までという時間制限があります。40分経過すると自動的に終了して、再度入り直す必要があり、ビジネス利用ではストレスです。また、同時に参加できる人数も最大100人までに制限されています。
一方、有料プランでは以下のように制限が緩和されます。
- ミーティング時間:最長30時間まで連続利用可能
- 参加人数:基本300人、上位プランでは500人〜1,000人まで拡張可能
短い商談や社内会議だけなら無料でも問題ありませんが、研修やウェビナーなど長時間・大人数での利用には有料化がほぼ必須です。
録画・管理機能・共同ホストなどの制限
無料プランでは、使える管理機能やサポート機能が限られます。以下の機能は有料限定です。
- クラウド録画
- 無料版はPC本体への「ローカル録画」のみ対応
- 有料版ならクラウド上に録画を保存でき、共有リンクを発行して配布可能
- ユーザー管理・レポート機能
- 部署やチーム単位でアカウントを管理できるのは有料版のみ
- 会議参加状況や利用履歴のレポート出力も可能
- 共同ホスト機能
- 複数人でホスト権限を分担できるため、大規模イベントや研修の進行がスムーズ
- 無料版は単一ホストのみのため、進行管理が難しい
最新機能(AI Companion、Whiteboardなど)の有無
Zoomは近年、AIを活用した生産性向上機能を続々と追加していますが、これらは有料プランでしか利用できません。
- AI Companion
- 会議内容をリアルタイムで文字起こし・要約。議事録作成の効率化に最適
- 会議内容をリアルタイムで文字起こし・要約。議事録作成の効率化に最適
- Zoom Whiteboard
- バーチャルホワイトボードで複数人が同時に書き込み
- オンライン研修やブレストで活躍
- Zoom Clips
- 短い動画を録画して共有できる機能(説明資料の代わりにも)
| 機能/項目 | 無料プラン(Basic) | 有料プラン(Pro以上) |
| ミーティング時間 | 40分まで | 30時間まで |
| 参加人数 | 100人まで | 300人〜1,000人 |
| クラウド録画 | × | ○ |
| 共同ホスト機能 | × | ○ |
| AI Companion | × | ○ |
| Zoom Whiteboard | ×(閲覧のみ) | ○(編集可能) |
Zoomの料金プランの比較
Zoomには無料プラン(Basic)を含めて、4つの基本プランが用意されています。それぞれの料金・対象人数・主な機能を整理しました。
4つの基本プラン(Basic/Pro/Business/Enterprise)
| プラン | 料金(税込) | 最大参加人数 | 主な機能 | 用途 |
| Basic(無料) | 無料 | 100人 | 40分までのミーティング、ローカル録画 | 個人利用、短時間ミーティング |
| Pro | 月額 2,000円前後 | 100人(拡張可) | 30時間まで、クラウド録画、共同ホスト、レポート機能 | 小規模チーム、社内会議 |
| Business | 月額 2,700円前後 | 300人 | SSO、詳細レポート、ブランドカスタマイズ | 部署単位での利用、中規模企業 |
| Enterprise | 要問い合わせ | 500〜1,000人 | フルHD配信、専任サポート、無制限クラウド保存 | 大規模企業、イベント運営 |
※料金は目安(実際の価格は為替や契約形態によって変動する可能性があります)
詳細はZoom公式サイトをご参照ください
Pro以上のプランになると、クラウド録画や共同ホスト機能が利用可能になり、社内外での本格的な運用が可能です。Business以上ではブランディング対応や管理機能が強化され、複数部署での統合管理に適しています。
ウェビナー・Eventsなどの追加オプション料金
基本プランに加えて、ウェビナー機能やZoom Eventsなどのオプションを追加できます。ウェビナーやEventsは、Pro以上のプランに追加して利用します。
- Zoom Webinars
- ウェビナー形式での配信に特化した機能
- Q&Aや投票、参加者のマイク制御が可能
- 料金は300人規模で月13,000円前後〜
- Zoom Events
- 展示会や大規模オンラインイベント向けのプラットフォーム
- 複数セッションをまとめて管理可能
- 料金は100人規模で月22,000円前後〜
年間契約と月額契約の料金差
Zoomは月額契約と年間契約の2つの契約形態があります。年間契約を選ぶと、1か月あたりのコストが割安になります。
例:Proプランを10ユーザーで契約する場合
| 契約形態 | 1アカウントあたり | 年間合計(10アカウント) |
| 月額契約 | 2,000円 × 12か月 | 240,000円 |
| 年間契約 | 1,800円 × 12か月 | 216,000円 |
目的別に見る最適なプラン選び

Zoomは「ミーティング」と「ウェビナー」という2つの配信形式を中心に、さまざまなプランやオプションが用意されています。選ぶ際は「参加者とのコミュニケーション方法」と「使いたい機能」を基準に判断するとよいでしょう。以下、目的別に最適なプランを解説します。
社内会議・チームミーティング中心ならPro
社内会議やチーム内ミーティングが中心であれば、Proプランがおすすめです。
- 40分制限が解除され、時間を気にせず議論できる
- クラウド録画や共同ホストなど、業務効率化に役立つ機能が利用できる
- 必要に応じて「大規模ミーティング拡張(有料オプション)」を追加すれば、最大5,000人まで参加可能
社内の部署横断ミーティングやオンライン朝礼など、双方向のコミュニケーションを重視する場面に適しています。
顧客向けセミナーや研修ならウェビナー中心に検討
顧客や外部パートナーを対象にしたセミナーや研修を開催する場合は、ウェビナー機能を追加したプランを検討しましょう。
ウェビナーのメリット
- 主催者側のみが発言でき、参加者は視聴に集中できる
- 参加者のマイクを一括管理できるため、音声トラブルを防げる
- Q&A機能や投票機能でインタラクティブな配信が可能
ウェビナーとミーティングは併用も可能なので、イベント内容に応じて使い分けましょう。
ZOOMウェビナーとミーティングの違いについてはこちらの記事でご確認ください。
⇒Zoomミーティングとウェビナーの違いとは?機能やプランを解説
画質重視ならフルHD配信オプションも利用可能(Business以上)
高画質での配信を行いたい場合は、Businessプラン以上で利用できるフルHD配信オプションを追加しましょう。
- 商品デモや美術作品の展示、動画コンテンツなど、細部まで見せたいコンテンツに最適
- ネットワーク回線が安定していることが前提条件
大規模イベントや複数拠点連携は慎重に検討
複数ステージで同時ライブ配信を行う場合、Enterprise+Eventsという構成も選択肢としてありますが、料金が非常に高額なため、導入している企業はごくわずかです。
多くの場合は、ウェビナーを複数契約して運営するほうがコスト効率が高く、柔軟に対応できます。Enterprise+Eventsは最大1万人規模の同時配信も可能ですが、運営規模が特殊でない限り、ここまでの機能は不要です。
有料プランが必要なケースと無料で十分なケース
ここでは、有料化すべき場面と、無料で十分なケースを整理して解説します。
有料化すべき具体的なシーン
以下のビジネス用途では、有料プランの導入をお勧めします。
- 商談や顧客対応
- 会議時間が40分を超えることが多いため、無料プランでは中断リスクが高い
- 商談中に強制終了すると、顧客体験の低下にもつながる
- 採用面接
- 面接は時間が読みにくく、複数回線を同時に接続するケースも多いため、安定した接続と管理機能が必須
- 面接は時間が読みにくく、複数回線を同時に接続するケースも多いため、安定した接続と管理機能が必須
- オンライン研修や社内セミナー
- 参加者が多い場合や長時間にわたる場合は、クラウド録画やレポート機能を活用することで運営効率が向上する
- 参加者が多い場合や長時間にわたる場合は、クラウド録画やレポート機能を活用することで運営効率が向上する
- ウェビナー運営
- 参加者の発言制御、Q&Aや投票機能などが必須となるため、有料プラン+ウェビナー拡張が前提となる
- 参加者の発言制御、Q&Aや投票機能などが必須となるため、有料プラン+ウェビナー拡張が前提となる
- Zoom最新機能を活用したい場合(有料プランでのみ利用可能)
- AI Companion:会議の自動要約、議事録作成
- Zoom Whiteboard:共同編集できるバーチャルホワイトボード
- Zoom Clips:短い説明動画を録画して共有
無料で十分な利用パターン
以下のケースでは、無料プランで問題ありません。
- 短時間・少人数での会議
- 40分以内&参加者が100人未満であれば、無料プランで制限なく利用可能
- 例:チーム内の定例ミーティング、進捗確認ミーティング
- 個人利用や趣味目的
- 家族・友人とのオンライン通話や趣味グループでの打ち合わせなど、業務以外の軽い利用
有料化の判断は「時間」「人数」「管理機能」の3つを基準にすると分かりやすいです。ビジネス利用では40分制限や録画機能不足がネックになるため、早めの有料化を検討しましょう。
Zoom有料プランへのアップグレード手順
無料プランから有料プランへの切り替えは簡単です。アップグレード時に確認しておきたいポイントと手順を説明します。
現在のアカウント種別を確認する方法
- ZoomのWebポータルにログイン
- 画面右上のプロフィールアイコンをクリック
- 「アカウントプロフィール」を選択
- 「アカウントタイプ」にBasic/Pro/Businessなど、現在の種別が表示されます
アップグレード手順
- Zoom Webポータルにログイン
- 左メニューの「プランと価格」を選択
- 希望するプランを選び、「アップグレード」をクリック
- 契約期間(月額/年間)を選択
- 支払い情報を入力して手続き完了
- 完了後、Zoomアプリを再起動すると有料機能が反映されます
クレジットカード払いが基本ですが、請求書払いに対応しているプランもあります。複数アカウントを一括管理する場合は、管理者権限で操作を行いましょう。
解約やプラン変更時の注意点
- 更新日の前に手続きする
- 契約更新日の1日前までに解約手続きを行わないと、翌月も自動更新される
- 契約更新日の1日前までに解約手続きを行わないと、翌月も自動更新される
- 返金ポリシーを確認する
- 契約形態によっては返金不可の場合があるため、事前に確認すること
- 契約形態によっては返金不可の場合があるため、事前に確認すること
- プラン変更は即時反映
- 上位プランへの切り替えは即時反映されるが、下位プランへの変更は次回更新時から適用される
導入後に押さえておきたい運用ポイント
Zoomを組織で継続利用するには、セキュリティ対策・ユーザー管理・録画データのルール整備が不可欠です。運用で重視すべきポイントを解説します。
セキュリティ設定の基本
Zoomを安全に運用するためには、まずセキュリティ設定を整えます。会議ごとにパスワードを設定し、不正なアクセスを防ぐことが基本です。待機室(Waiting Room)を活用して、参加者をホストが確認してから入室を許可すると安心です。
画面共有は参加者全員に許可するのではなく、原則としてホストのみが操作できる設定にし、必要な場面でのみ参加者に解放しましょう。また、セキュリティ上の不具合を防ぐため、Zoomアプリは常に最新バージョンにアップデートしておくことも忘れずにしましょう。
ユーザー管理・権限設定の最適化
組織でZoomを利用する際は、ユーザーを部署やチーム単位でグループ管理し、それぞれに適切な権限を付与します。ホスト権限を無秩序に与えると混乱が生じるため、共同ホスト機能を活用して役割分担を明確にしましょう。Zoomが提供する利用状況レポートを活用すれば、会議の利用率や問題点を可視化でき、運用改善にもつながります。
録画データの管理と共有ルール
クラウド録画する場合は暗号化を行い、アクセス権限を限定して管理します。録画データは長期間放置せず、保存期間をあらかじめ決めて、不要なデータは定期的に削除しましょう。
社外に共有する際は、限定公開リンクとパスワードを設定し、社内共有の場合も権限者のみにアクセスを制限します。録画データには機密情報が含まれることが多いため、ルール策定と徹底した周知が安全運用の肝です。
Zoomの録画についてはこちらの記事で説明しています。
⇒Zoom録画の完全ガイド|シーン別活用・最新AI連携・失敗対処まで
まとめ
Zoomを効果的に活用するには、目的に合わせたプラン選びと、導入後の適切な運用が不可欠です。導入後は、セキュリティ設定を整え、ユーザー管理や録画データの扱いを明確にすることで、トラブルや情報漏えいを防げます。会議を安全かつスムーズに進行するために、プランの特性を理解し、日々の運用を継続的に改善していきましょう。
| Zoom会議やウェビナーの運営を、準備から当日サポート、トラブル対応まで一括代行します。本番中の進行管理や配信トラブルはプロに任せて、安心してイベントに集中しましょう。 ▶ 今すぐ相談する |
監修者プロフィール野本 彩乃(のもと あやの)
株式会社フロンティアチャンネル 代表取締役
音楽クリエイター、アナウンサー、イベントディレクターを経て、2015年に制作会社「株式会社フロンティアチャンネル」を創業。ライブ配信事業では、官公庁・公共団体・大手企業のウェビナーや配信を数多く支援。音楽・音声・映像制作から配信運用、独自のITツール開発まで、幅広いクリエイティブを手がける。「世に残るコンテンツを創る」を信念に、現場視点とクリエイティブを融合させた運営支援を行っている。